とあるKSDDのアイドル考察録

アイドルオタク9年目のKSDDがアイドルに関して色々考えてみます

はじまりはキラキラ ~おかえり安本彩花さん~

僕の推し、私立恵比寿中学安本彩花さんが人気YouTubeチャンネル"THE FIRST TAKE"でパフォーマンスに復帰した。披露した楽曲は『なないろ』だった。 

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『なないろ』について

初披露

エビ中のオタクにはよく知られた話だが、なないろは2017年2月8日に逝去したメンバーの松野莉奈さん(以下、りななん)を偲んで作られた曲だ。作曲・作詞は以前からメンバーとも親交の深いミュージシャンの池田貴史さんだ。

この曲が初披露されたのはりななんが亡くなった約2か月後、エビ中が活動を再開したツアーの初日、八王子オリンパスホールでのことだった。


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一緒に活動しているメンバーが亡くなるという事態が若い女の子達に与えるショックは想像すらできなかった。だから僕は万一エビ中の活動が彼女たちの心にさらに傷を与えることになるくらいなら、解散すべきだと考えていた。

でも、この動画を見たとき、僕は心から「帰ってきてくれてありがとう」と思った。当時、この定点カメラの映像を会社帰りに駅のホームで見ていたが、涙があふれて電車を数本見送った*1

真山はこの時、なないろを「私たちのスタートの曲」と言った。

 

2017年7月16日 国際フォーラム

そして、僕がそのパフォーマンスを生で見ることになったのは2017年7月16日東京国際フォーラムで行われたツアーの最終公演だった。この日は奇しくもりななんの誕生日だった。

別に今でも明確なルールがあるわけではないが、なないろのパフォーマンス時はりななんの追悼の意味を込めてペンライトを青色にするオタクが多い*2。当時はそれが徐々に浸透してきていた時期だったので、楽曲が始まった時はまだ客席のペンライトはカラフルなままだったが、客席はパフォーマンス中だんだんと青色に染まっていった。

そこまで涙を堪えてパフォーマンスしてきた安本さんが初めて涙を見せたのがこの曲の落ちサビのことだった。僕もさすがに泣いた。ていうか、このライブの後半はずっと泣いてた。

「今、あなたの心は何色ですか。たくさんの思いを込めた、私たちのスタートの曲です」という真山りかの言葉に続いて歌われた、松野への思いが詰め込まれたナンバー「なないろ」では、安本彩花がこらえきれず歌の途中で涙を流してしまう。ほかのメンバーも目に涙を浮かべる中、およそ5000人のエビ中ファミリー(エビ中ファンの総称)が見守る客席には、松野のイメージカラーである青いテープが華やかに放たれた。

エビ中、松野莉奈への思い込めたツアー千秋楽「これからも、君とここにいる」 - 音楽ナタリー

 

こういった経緯で、なないろはエビ中にとって大切な意味を持ち、節目で歌われる楽曲となった。結成10周年を祝して行われたMUSiCフェスでの動画も先日、公開された*3


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安本彩花さんについて

1度目の休養と復帰

安本さんは2019年10月から1回目の長期休養に入った。僕はクソみてーなトレンドブログが「安本彩花さんの休養の理由は?」みたいな無責任な事を書くのが許せなかったので、とにかく安本さんのいいところを伝えられるようにしようと思い、このエントリを書いた。

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つい先日、安本さんのインタビューがナタリーで掲載され、この時のことも語られた。やはり安本さんは無理をしてしまっていたようだ。

あのときは簡単に言うと、がんばりすぎちゃったというか。エビ中が8人から7人になって、さらにそこから6人になって……エビ中が新しい形に変わっていく中で『みんなの力になりたい』『私の力でエビ中を引っ張っていかなきゃ』と変に責任を負いすぎてしまったんです。誰に言われたわけじゃないんですけど、私がなんとかしないと!って考えすぎた結果、心と体にズレが出てきてしまって。気持ちが先に走りすぎて、全力疾走したらズッコケてしまった(笑)。

私立恵比寿中学・安本彩花、2度のピンチを乗り越え「THE FIRST TAKE」で復活するまでの長い道のり - 音楽ナタリー

 

そして、そのまま世の中はコロナ禍に突入する。アイドル業界…というか音楽業界がモロにダメージを食らう中、安本さんはライブ以外の活動に徐々に復帰し始めた。ブログは定期的に上げていたし、武道館でのライブ映像のYouTube配信&コメンタリー企画や、ぽーちゃんの20歳誕生日祝いなどには参加しており、ファンに元気な顔を見せてくれていた。

そんな安本さんが遂にライブパフォーマンスに復帰したのが「オンラインやついフェス」だった。この日、初めてエビ中フルメンバーでパフォーマンスされたジャンプを聴いて僕は涙した*4

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悪性リンパ腫の罹患と寛解

その後、「秋麗と轡虫と音楽のこだま 題して『ちゅうおん』2020」にて、僕は安本さんの姿を生で見ることができた。僕はこれから安本さんが元気にパフォーマンスする姿が沢山見られると思っていた。

そんな矢先に発表されたのが安本さんが悪性リンパ腫に罹患し、休養に入るというニュースだった。

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僕は上記ブログの通り、その時期の安本さんのパフォーマンスが単なるスキルの向上だととらえていたが、実際にはがん罹患の疑いがその時のパフォーマンスにも影響を与えていたことがインタビューでは語られた。

実は『ちゅうおん』のときからガンの疑いがあって。『こんなに若いのにガンなわけないでしょ!』って言われながらも、自分は直感で『これはヤバい』と感じていたんです。心と体の不安がダブルで重なっちゃって、一番ヤバい時期だった。あとにも先にもないだろうという恐怖感を抱えた中で自分のソロライブをプロデュースするという……自分はもう終わりが近いかもしれないという直感がありながらも、絶対に終わりたくない、ライブを成功させたい、完全燃焼できるライブがしたい、というとっ散らかった感情が、ああいう形のライブになったんだと思います

私立恵比寿中学・安本彩花、2度のピンチを乗り越え「THE FIRST TAKE」で復活するまでの長い道のり - 音楽ナタリー

そして、今年4月に寛解の報が入った。それを聞いて僕は非常に安堵したが、病状やリハビリの状況について明らかにされたわけではなかったので、パフォーマンスの復帰の目途などはわからなかった。悪性リンパ腫と言えば血液の癌であり、抗がん剤治療がメインになってそうだな、副作用からのリハビリとか時間かかるのだろうか、髪の毛抜けちゃったのかな、等ということをぼんやり考えていた。

 

THE FIRST TAKEでの復帰

そんな中、突然なされたTHE FIRST TAKEの告知ツイートに僕は歓喜した。安本さんがいる!こんなに嬉しいことがあるだろうか。

翌日、相変わらずKSDDな僕は別現場を終え、家で待機していた。時間になり、カウントダウンの後、動画が始まった。

5人のメンバーに少し遅れて安本さんがスタジオに入ってきた。メンバーが口々に「おかえり」と言った。安本さんが「ただいま」と言った。心に温かいものが広がっていくのを感じ、僕も「おかえり」と思った。発声練習のあと、美怜ちゃんが言った。「それでは私たちにとって大切な曲を歌います。」そして素晴らしいパフォーマンスが行われた。


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プレミア再生が終わり、そのままもう1回再生した。そしたら涙が出てきた。パフォーマンスはやっぱり素晴らしかったが、それは僕にとってはどうでもよかった。安本さんが楽しそうに歌っていた。そしてメンバーと笑いあっていた。それこそが一番大事なことだったし、それだけで十分だった。

 

これからの安本さんとエビ中

現在の安本さんは憑き物が落ちたように前を向いていることが、インタビューから伝わってきた。また、復帰した安本さんを見たときにまず目につくのは安本さん史上最も短い緑色のベリーショートだ。やはり抗がん剤の影響で髪の毛が抜けてしまったということだが、この髪型についても安本さんはNews Zeroのインタビューで明るく語ってくれた。

ウィッグがすごく嫌で…一番自分らしい姿が一番自分が自信持てるし、
緑色に髪を染めたときにすごく自信が湧いてきて。

パッと明るくなった自分を見たときに「絶対いける」って思えて。

 

そして、6人で最後のパフォーマンスとなったなないろという楽曲について、安本さんはインタビューでこのように語った。

今やっと、「なないろ」が持つ楽曲自体の良さみたいなものを感じられるようになって。心の整理がついてきたことで、この楽曲が持っている歌詞の素晴らしさや美しさを改めて表現できたんじゃないかと思っています。

私立恵比寿中学の今の想い。『THE FIRST TAKE』で見せる6人最後のパフォーマンス – THE FIRST TIMES

 

なないろは女の子のまっすぐな恋心を歌った楽曲であり、りななんを偲ぶ楽曲でもある。そして、この曲は6人時代のエビ中に終わりを告げ、新体制へ歩みだす希望にあふれたスタートの歌となった。

 

 

私立恵比寿中学の第3章、きっと「はじまりはキラキラ」だ。

 

*1:傍から見ると駅のホームで泣いてるヤバいサラリーマンである

*2:僕もそうしている

*3:ちなみにフェスの開催はりななんの夢でもあった

*4:てか泣いてばっかだな俺…