とあるKSDDのアイドル考察録

アイドルオタク9年目のKSDDがアイドルに関して色々考えてみます

私たち歩き始めたばっかり ~エビ中新メンバーオーディションについて~

2021年になって約1時間後、私立恵比寿中学の新メンバーオーディションの開催が発表された。

f:id:kamaidol:20210120203300j:plain

私立恵比寿中学、7年ぶりの新メンバーを募集「新時代を切り開きませんか?」(コメントあり) - 音楽ナタリー

いくつかの点から今後のエビ中を考えてみよう。なお、僕は新メンバー肯定派である。

 

 

今回のオーディション 

現メンバーの受け止め方

今回の件で、現メンバーの中で最も注目されていたのはひなただろう。ひなたは以前、新メンバーについての意見を求められた際に明確に「私は今じゃないと思う」と意思表示していたからだ*1

実際、今回のYoutube Liveのコメントやその後のTwitterでも「ひなたは認めたのかな」という意見が見られた。しかし、今回ひなたはブログで明確に自身の見解を示した。

改めてきちんと言いますがわたしは新メンバーを入れることに反対したことは一度もありません

校長にお話したのも「今じゃないんじゃないか」「このタイミングは違うと思います」というお話をさせていただきました

どんどんいろんなことを受け継いでここまで続いてるグループですから
新メンバーは大歓迎です

(中略)

最初はわたしのわがままであったのですがファミリーにも「6人のエビ中よかった」と思っていただけてたことが嬉しかったし今も「最高の6人」と思っていただけていたらとても嬉しいです

この6人だったからこそできたことや生まれた作品があると思ってます

そしてこれから今のエビ中にどんな子が入ってきてくれてどんなエビ中に進化するのか楽しみです

私立恵比寿中学 (エビ中) 公式ブログ - *2021になりました→おもち* - Powered by LINE

 

 また、「安本さんがいない中での発表はどうなんだ」という意見も一部見られたが、今回のYoutube Liveの中では安本さんからの手紙も読まれた。

新しくて変わらないエビ中を皆さんにも楽しんでいただけたら嬉しいです。楽しく盛り上げてくれる子に出会えるのが今から楽しみです。

https://youtu.be/BnbyJ_xmHZk

そもそも安本さんは新メンバー推進派であることを明言している*2。後述する校長の発言から見ても、現役メンバーは一枚岩だと思っていいだろう。

オーディションの時期

もともと新メンバーオーディションは2018年1月、ぁぃぁぃ卒業の翌日『ebichu pride』で発表される予定だった。しかし、その日の鬼気迫るパフォーマンスを見た校長が土壇場で発表を取りやめたという。

「このパフォーマンスができるんだったら、新メンバーを入れるにしても今じゃないし、入れるときは本人たちと話して、6人全員が納得する形で入れなきゃダメだなって」(藤井)

出所:大久保和則『私立恵比寿中学HISTORY幸せの貼り紙はいつもどこかに』(2019・東京ニュース通信社

この後、校長はおそらく6人のエビ中が安定したタイミングで新メンバーを入れようと思ったのではないか。しかし、2018年末、美怜ちゃんが大学芸会のリハーサルにて事故に遭い、活動休止となってしまう。その後美怜ちゃんは徐々にパフォーマンスに復帰するが今度は 2019年の秋から安本さんが活動休止に入る。

校長は焦りを覚えていたのではないだろうか。6人のエビ中での活動期間が長くなるほど、新メンバーへのハードルとオタクの反発は大きくなる。そして遂に2020年、美怜ちゃんはパフォーマンスに完全復帰し、安本さんも活動を再開する・・・が、今度は安本さんの悪性リンパ腫の罹患が明らかになった。安本さんの闘病生活が今後どれくらい続くかは誰にもわからない。時期についてはここが限界だとジャッジしたということだろう。

 

ukkaからの新メンバー加入

エビ中の研修生ユニットとして、2015年に結成されたのが桜エビ~ずだ。結成当初のインタビューでこれがエビ中のための組織である旨を校長は公言している。

エビ中の下部組織として「桜エビ~ず」を作ったんですよ。そのメンバーをもっと増やして永遠に続くグループを作りたいです。

vol.67 株式会社スターダストプロモーション 芸能3部 マネージャー 藤井ユーイチさん | 名物プロデューサー列伝 | 音楽主義

そして桜エビ~ずはコンセプトを変更したり動員が伸びない不遇の時代を経て、徐々にその実力を開花させていく。転機は2018年に発表されたリンドバーグを皮切りとした12か月連続の新曲発表だ。これ以降、楽曲の高さが評価され、それに呼応するように飛躍的に向上したパフォーマンスがアイドルオタク達に見つかっていくこととなる。


桜エビ〜ず「リンドバーグ」MV -New Album「octave」(8/21 release)-

そして2019年11月、桜エビ~ずは『ukka』と改名することが発表された。この改名はエビ中との決別だ*3。ここまで成長してきたukkaはエビ中の下部組織ではなく、独立したグループだ、ということの意思表示だと思われる。

エビ中の新メンバーオーディションのYouTube Liveのコメント欄では「水春を加入させれば?」という意見も見られたが、こういった経緯を踏まえるとナンセンスな話だと思う。ukkaは今や、単独の武道館公演も十分に狙えるグループであり、ここからエビ中の新メンバーを入れるという選択肢はないだろう。というか、そんなのは僕が嫌だ。

 

新メンバーの資質

では、どういった子が新メンバーとしてふさわしいだろうか。

書いといてなんだが、こればっかりは誰にもわからない。僕は一応2014年からエビ中のオタクをやっているが、ぽーちゃんやりったんがこんなに成長するとはまるで思っていなかった。感情電車で朗々と歌い上げるポーちゃんや、オメカシ・フィーバーで自由闊達にステージを動き回るりったんを見るたびに僕が思い起こす、とある漫画のワンシーンがある。

晴子……お前が見つけてきた変な男は 湘北に必要な男になったぞ……

f:id:kamaidol:20210118010909j:plain

スラムダンクでゴリが晴子ちゃんに心の中で語りかけるシーンだ。ぽーちゃんもりったんも加入当時は中2。わけのわからんレベルのガキである*4。そんなカホリコの今の姿を見ると、そりゃあもう、「校長…お前がスカウトした変な子供はエビ中に必要なメンバーになったぞ…」って気持ちになってしまう。

つまり、加入当時の状態なんて何もあてにならないのだ。だからこそ僕は10歳の子どもが来ても22歳の元地下アイドルが来ても、絶対に批判めいたことを言わないし、応援しようと思っている。

 

私立恵比寿中学の今後

エビ中が進む二つの道

今回の新メンバーオーディションが終わった後、エビ中には大きく分けて2つのルートがある。①今回が最後でもう新メンバーの追加はなされない、②今後も継続的に新メンバー追加は行われる、という二つだ。

もちろん現段階ではどちらかに完全に決まっているということはないだろう。しかし、上述のインタビューでも、校長は永遠に続くグループを作りたいと思っているようだ。つまりエビ中をスタダのモーニング娘。にしたいということだ。

そう考えると、もしメンバーが今後も転校する場合は、継続的なメンバー追加が行われていくと言えそうだ。*5

 

テセウスの船問題

そこで問題になるのが、アイドルグループがメンバーの加入と卒業を繰り返す場合に発生する「テセウスの船」問題だ。

テセウスの船(テセウスのふね、英: Ship of Theseus)はパラドックスの一つであり、テセウスパラドックスとも呼ばれる。ある物体において、それを構成するパーツが全て置き換えられたとき、過去のそれと現在のそれは「同じそれ」だと言えるのか否か、という問題(同一性の問題)をさす。

テセウスの船 - Wikipedia

現在のエビ中を構成するメンバーは概ね2期に分けられる。メジャーデビュー時点でいた真山、安本、星名、柏木とSSA公演後に加入した小林、中山だ。そして今後第3期が入ってくることとなる。

 

仮に第1期の4人がいなくなった時にそれはエビ中と呼べるのだろうか?

幸いにして、僕はまだ自分が推しているグループにおいて、この『テセウスの船』問題にぶつかったことはない。これに関しては、また別の機会に考えてみることとしよう。

 

最後に

2020年末の大学芸会、売れたいエモーション!がパフォーマンスされたが、その中のとあるフレーズに僕は苦笑した。

今はまだ私たち歩き始めたばっかり

この曲は2011年の楽曲だ。2009年に結成された当時のエビ中が歌うにはお似合いだったが、いろんなことを乗り越えて結成11年目に突入した今のエビ中が歌うには少し可笑しく感じたのだ。

しかし、新メンバーオーディションの報を聞いて、僕はこの歌詞を改めて思い出した。もしかしたら、現在の6人のエビ中はこれから長く続いていく私立恵比寿中学にとって、「歩き始めたばっかり」なのかもしれない。

 

タイトルは「売れたいエモーション!/私立恵比寿中学」より 

*1:2019年のEverything pointだったかな…

*2:これまで新メンバーが入ってきた際に、グループに良いことしかなかった、というのが理由だ

*3:もちろん仲が悪くなったという意味ではない

*4:と言いつつ、僕は今中学生のアイドルを推してたりするんだが(開歌の渡邊陽ちゃん)

*5:もちろん、現メンバーが転校してほしくはないが、8年もオタクをやっていると、「メンバー変動がない」ことが幻想であることは痛感している