とあるKSDDのアイドル考察録

アイドルオタク9年目のKSDDがアイドルに関して色々考えてみます

まだ楽しいことばっかできるの ~6人時代のエビ中を振り返って~

5/5に行われた配信ライブ『初夏のエビ増量キャンペーン』にて、私立恵比寿中学に3人の新メンバーが加わった。新メンバー加入は7年前にポーちゃんとりったんが加入して以来のことだ。GW中に行われた3つのライブと合わせて、エビ中史上最長となった「6人時代」を振り返り、今後のエビ中の姿を考えてみよう。f:id:kamaidol:20210516230933j:plain

 

Best at the moment series『6Voices』

4/30にパシフィコ横浜で行われたのが、全国ツアー最終日のこの公演だ*1。GW中の平日かつ横浜開催ということで、有休をとって臨んだ。ライブの詳細はむらたかもめさんのブログ等をご参照。

www.ongakunojouhou.com

 

ライブ本編

僕は鈍感なオタクなので、オメカシ・フィーバー制服”報連相”ファンクという好みのファンク・ナンバーが続いたことを純粋に楽しんでいたのだが、さすがにムービーでぽーちゃんばかり映され、感情電車のフォーメーションに入ったあたりでライブの構成を察知した。エビクラシー楽曲とplaylist楽曲のフィーチャー曲+1曲で6人分を回していく構成ね*2

面白いと思ったのが、メンバーごとの+1曲の選曲(下記参照)だ。安本さんの涙は似合わないや、ひなたのスーパーヒーローなんかはイメージ通りというか僕が選んでも同じ選曲をしそうだが、美怜ちゃんの未確認中学生Xやぽーちゃんのラブリースマイリーベイビーとか、言うほどフィーチャー感ある?と思った。どうやって選ばれたのかわからないが、「美怜ちゃんといえばピピピピからの2サビでしょ」みたいな会話がなされたのだろうか。最年長の真山が大人はわかってくれないってのも良い。

真山→大人はわかってくれない
安本→涙は似合わない
星名→未確認中学生X
柏木→スーパーヒーロー
小林→ラブリースマイリーベイビー
中山→放課後ゲタ箱ロッケンロールMX

安本さんパートでは安本さん音声+映像入りでパフォーマンス。6人のエビ中の締めくくりの日を安本さんと迎えたかったという気持ちはあるが、先日聞いた悪性リンパ腫寛解のニュースがうれしすぎて、あまり寂しさは感じなかった。安本さんのパフォーマンスが見れる日が本当に楽しみだ。

そしてこの日改めて感じたのは、楽曲の強さとそれを引き出すメンバーの力だ。エビクラシー、playlist楽曲の強度が半端じゃない。抜群のパンチ力を持つオメカシ・フィーバーで1曲目から会場を引き込むりったん、ぽーちゃんは中山パートから感情電車でガラっと雰囲気を変え、ひなたは圧倒的な歌唱力でI’ll be hereを歌い上げる。美怜ちゃんはまるでタイプの違う3曲を見事に表現し、安本さんの卓越した表現力が光るジャンプに、照井ワールドの世界観に負けない真山の春の嵐。往々にして楽曲派アイドルで見られるのが、楽曲が強すぎてアイドルのパフォーマンスが追いついていないケースだ*3。今のエビ中からはどんな楽曲でも、その良さを120%引き出してパフォーマンスできるという確信を感じるライブ本編だった。

6人の歌詞が心に響くHISTORYから、Family Complex、そして締めくくりはエローライトだ。メンバー自身の、そして本当に大切にエビ中のことを思ってくれる人たちが作ってくれた楽曲たちだ。

 

アンコール・安本さんの手紙

アンコールのわちゃわちゃから、サドンデスが始まる。そしてツアー各地でメンバーからのコメントがあったということで、この日は安本さんからの手紙が読まれるようだ。代読はひなた*4

安本さんの手紙自体は上記ブログなどでも詳しく紹介されているので割愛するが、手紙でまず印象的だったのは、6人のエビ中のスタートである『ebichu pride』で震えながら言ったという「今日のエビ中を見て判断してほしい」という言葉だ。僕も当時参加していたが、この言葉を見てぁぃぁぃ卒業でフワついていた気持ちがぶっ飛ばされたのを覚えている。

idol-consideration.hatenablog.com

また、手紙ではりったんをイジるギャグを交えながら、一緒に過ごしてきた5人のメンバーへの思いも語られる。この6人は心震える瞬間も辛い出来事もたくさん経験してきた。そこにはきっと「絆」という陳腐な言葉で片付けられない強固な関係性がある。僕らオタクにはこういった手紙やドキュメンタリー作品でその片鱗が見えるだけだが、その関係性は6人だけのものとして大事にしてほしいと思った。

 

エビの踊り食い produced by 安本彩花

5/5は2本ライブがあり、僕はもともと2本目のみ当選していたのだが、緊急事態宣言の影響で無観客に・・・。まぁ決まったことを嘆いても仕方ないので、気を取り直してニコ生のチケットを購入。配信にしちゃ高いが、スタダの懐事情もしんどいだろうからしょうがない*5。昼公演は安本さんプロデュースによる公演。

natalie.mu

安本さんが1曲目に選んだのはシンガロン・シンガソンだ。7人のエビ中最後の曲であり、6人のエビ中最初の曲。ebichu pride思い出してエモくなっちゃうね。また、1部では安本さん考案の「胸キュン台詞対決」という企画が行われた。さすがに30も超えたおっさんでガチ恋でもないので、こういう企画にはあまり興味がない*6のだが、安本さんらしいなぁという感じ。

熟女になってもで安本さん不在のため、美怜ちゃんがラップを担当していたが、ピンク色のモフモフのマフラーをまいてきたため、コメント欄でドフラミンゴ・・・って言われてたのが面白かった。6人のライブは最後とはいえ、感慨深い節目のライブというよりは普通の楽しいライブという印象だった。僕が配信ライブあまり好きじゃない、というのもあるかもしれないけど。

 

初夏のエビ増量キャンペーン

ライブ本編

そして2部はいよいよ新メンバー発表公演だ。ライブ本編はえびぞりダイアモンド!!に続き、チャイム!で幕を開ける。おお、、シングル順だ。

natalie.mu

近年はやはり最近のエビ中に合ったイメージのplaylist、MUSiC、エビクラシーあたりの楽曲を聴くことが多かったので、初期曲のパフォーマンスを見れるのはなかなかレアだ。なんで緊急事態宣言出てるんだよ、クソったれ、と思わずにはいられなかった。もっと走れっ!!では曲中で途中で謎の玉入れ競争が始まる。最近のエビ中のライブで見られないわちゃわちゃ感あふれるステージは面白かった。ちなみに玉入れはひなたが上手かった。さすが強肩*7

自分が長くオタクをやっているグループでシングル順に時系列をたどるライブをやると、その時の感情がよみがえってくる。僕がエビ中を推し始めたのは2013年の冬頃だ。未確認中学生XのMV、関根勤が謎に絡んでたよなぁ。バタフライエフェクトはアニメのOPだったけどアニメはつまんなかったなぁ、ハイタテキ!エビ中主演ドラマ、ロボサンの主題歌だったけどあの頃からカホリコが心開き始めてたかな。そんな記憶が次々に蘇ってくる。

そしてトレンディガールまでやって、「あ、終わりか」と思う。最近はシングル全然出してないんだよね*8

 

新メンバー発表  

この日のライブでは何度も「新メンバーはこの後すぐ!」という煽りがあったが、いつまでたっても発表しないので、途中で「これは最後まで発表しないやつだな…」ということを悟った。

そして、ライブ本編が終わり、いよいよ新メンバーの発表。オーディションのムービーが始まる*9。ムービーが終わり、階段上に女の子のシルエットが映し出される。1人!?いや、、、まだいる!3人だ!!新メンバーは、桜木心菜(中4)、小久保柚乃(中3)、風見和香(中2)の3名。

一気に若返ったな…とまずは思った。人数についてだが、かほりこ加入時、校長が新メンバーは2人がいいと考えていたらしく、その流れで今回も2人かなぁと予想していた。

新メンバーが3人同時に入ると、その3人だけのグループができちゃうと思ったんです。インディーズ時代から、年頃の女の子同士の嫌なところ、時期によって仲良しグループができてそれ以外のメンバーとは仲が良くないとか、そういう部分をものすごく見てきていますから。

出所:大久保和則『私立恵比寿中学 HISTORY 幸せの貼り紙はいつもどこかに』

 確かに3人だとグループができちゃいそうな気もする一方で、ハロプロのグループなんかを見ていると、「○期」という区分が明確にあり期ごとの団結はありつつ、その団結がグループに良い作用を及ぼしているようにも感じる。元いたエビ中メンバーの最年少のりったんが20歳であり新メンとの年齢差は結構あることから、最初から全員が仲良し横並びというのも難しいのかもしれない。今回は現メンバーがお姉さんとして新メンバーをしっかり育ててほしい、というマネジメントサイドの想いの表れではないだろうか。

新メンバーにこの3人が選ばれたことについては特に現時点で言及すべきことはない*10。運営が選んだ子たちを含め、これまで通り僕は私立恵比寿中学を推すだけだ。当面は彼女たちの初ステージとなるファミえんを楽しみにしていよう。

 

6人時代のエビ中を振り返って

6人時代の始まり

改めて振り返るまでもないことだが、6人のエビ中は波乱の船出だった。エビ中6人時代は、2017年にりななんが逝去し、その1年後にぁぃぁぃが転校したことにより始まった。

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波乱の船出であったのは否定できないが、個人的にはぁぃぁぃの転校は一つの大きな区切りとして良く作用したと思う。りななん逝去後、僕は「私立恵比寿中学は7人なのか、それとも8人なのか」という問を抱え続けていた。そしてその問いは他のオタクも同様で、ゼッテーアナーキーナチュメロらんでぶーの出席番号を変える変えないで議論が生まれることもあった。7人がりななんの想いを胸に持ってステージに立っているのはもちろん理解しているが、事実として7人しかいないステージを8人居るかのようにふるまうことには無理がある。僕はこの問に答えを出せずにいた。

でも、僕はぁぃぁぃの転校を経て、その問に答えを得た。エビ中はぁぃぁぃが転校することで6人になる。でもりななんが居た8人のエビ中も、ぁぃぁぃが居た7人のエビ中も素晴らしいグループだったという事実は変わらないし、その歴史を携えて進む今の「6人のエビ中」を僕は推せばよいのだ。ぁぃぁぃの転校は、そうやって6人のエビ中を力強く押し出してくれたと今では感じている*11

 

作品群

6人時代に発表されたシングルはでかどんでんトレンディガールだけだが、アルバムはMUSiCplaylistの2枚が発表された。この2枚では中人、金八、穴空あたりの楽曲に代表されるわちゃわちゃ感のあるサウンドはどんどん少なくなっている。MUSiCでは、元気しかない!でわちゃわちゃの片鱗も残していたが、playlistではそういう楽曲すらない。クリエイターでいうと、Mrs.GREEN APPLE大森元貴や、ポルカドットスティングレイ、川谷絵音などJ-Rockの旗手を起用して洗練されたサウンドが増えている印象だ。

これらの楽曲はパフォーマンスが成熟する6人にアジャストした結果だと僕は考えており、その方向性自体には大賛成である。一方で、若い新メン3人には結構ハードだろうなぁとも感じる。頑張れ! 

 

結成10周年

6人時代には結成10周年という節目も訪れた。やはり印象的なのはMUSiCフェス。これだけたくさんのアーティストを呼んだフェスを成功させられたのはエビ中の10年のキャリアと存在感があったからこそ*12。6人時代のエビ中の最高到達点の一つといってもいいだろう。

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まだ訪れる苦難

そうやって進むエビ中だが、順風満帆とはいかずいくつもの障害に襲われる。2018年末の大学芸会リハーサルでの美怜ちゃんの事故があり、2019年に安本さんの長期休養が発表された。そして2020年頭からコロナ禍がエンタメ業界を襲い、安本さんは復帰後まもなく悪性リンパ腫罹患が公表された。

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 いずれも、僕たちオタクの心に暗い影を落とす出来事だ。。。その度に「なぜエビ中ばっかりこんなことになるの?」と思う*13

でも、そんな時にエビ中のライブに行っても辛さを感じることはなく、いつだってライブは楽しかった。ファミえん、ちゅうおん、大学芸会、FCイベ、春ツアー、全部楽しい思い出ばかりだ。『すじがねファンです』という番組でエビ中オタクが言っていた言葉が全てだ。

今回はエビ中には試練がいくつかありました、みたいな話でしたけど、「だけど私たち頑張ってるんですよ」ってアイドルしてないんですよ。ライブを楽しんでるんですよ!

 

6人のエビ中が手に入れたもの

人事領域の用語で”レジリエンス”という言葉がある。

レジリエンスとは困難や脅威に直面している状況に対して、「うまく適応できる能力」「うまく適応していく過程」「適応した結果」を意味する言葉のこと。

(中略)「適応力」「復活力」が、レジリエンスの本質といえます。
・ストレスなどの外的圧力を撥ね返す復活力
・逆境や困難に押しつぶされることなく外的環境に順応していく適応力

レジリエンスとは? 心が折れやすい人の特徴、レジリエンス向上の重要性、組織のレジリエンスを高める方法について - カオナビ人事用語集

今、美怜ちゃんのけがの後遺症を感じることはほとんどないし、安本さんの悪性リンパ腫も無事寛解した。6人時代のハードな船出に加え、そういった逆境を乗り越えてきた彼女たちは、真の強さ『レジリエンス』を手に入れたのではないか。

 

最後に

まとまらなくなってきたので、簡潔にまとめよう。

6人のエビ中は最高だった。

そして、きっと9人のエビ中も最高だ。

 

 

タイトルは『トレンディガール/私立恵比寿中学』より

*1:本来は2月に行われる予定だったが、緊急事態宣言が出たせいでずれ込み、最終日になってしまった

*2:ひなたの後の折り返しでMC挟むかと思ったら無かったので、これで18曲やるのマジか…と驚いた

*3:初期のオサカナとかはその典型

*4:ひなたの代読が上手すぎて、ナレーションとかやればいいのでは?と思ったが、そういえば野球のCMやってた

*5:個人的にはニコ生の時代遅れのUIとかChromeCastにつなぐと操作性が落ちることとかチケット買わせといて1回しか見れない仕様とかクソなので、あまり使わないでほしい…

*6:強がりじゃない!

*7:別に肩の強さ関係ないけど

*8:どうやら今後はアルバム中心で出していくスタンスのようだ。LP出してくんねーかなぁ

*9:この時のムービー冒頭でオーディション参加者の名前と映像が紹介されたのだが、最初数人は「えっ、この子が新メン!?」と勘違いした

*10:そもそもオーディション商法が好きではない

*11:HISTORY読むと、かなりメンバーはつらかったみたいだけど…

*12:コロナのせいで2021年はなくなっちゃって残念…

*13:そんなこと言ったってしょうがないのはわかっている。病気になる時はなるし、事故に遭うときは遭うのである