とあるKSDDのアイドル考察録

アイドルオタク9年目のKSDDがアイドルに関して色々考えてみます

起こしに行こうライオット ~エビ中大学芸会2021”Reboot”を見て~

2021年12月28日。僕は恒例となっているエビ中の大学芸会に足を運んだ。新メンバーを迎え入れ、9人となったエビ中は赤レンガ倉庫で行われる『ファミえん』で披露される予定だったが新型コロナの感染拡大により中止され、その後の@JAM EXPOが初披露となった。その後の単独長尺ライブとしては『ちゅうおん』が行われていたが、通常の形式のライブはまだ行われていなかった*1

そんな中開催された大学芸会だったが、僕は季節の行事に参加するくらいの軽い気持ちで東京ガーデンシアターを訪れていた。しかし、そこで僕が見たのは新生エビ中の魅力全部乗せのとんでもないステージだった。

 

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ライブレポート

ライブレポートはナタリーさんがいつもの通り詳しいものを上げてくれている。この記事自体は前日・12/27に行われたライブのレポートだが、基本的にほぼ同じ内容だったようだ*2。なので、ここでは僕が印象に残ったシーンを中心に振り返ってみよう。

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序盤

新衣装を見つけて集まっていくメンバーを映し出すムービーからスタートした大学芸会。各メンバーカラーを用いた、アイドル感あふれる衣装で登場したエビ中が最初に歌いだしたのは「イヤフォン・ライオット」。言わずと知れた9人体制初の楽曲であり、9人体制本格始動を告げるのにふさわしい!

そして次に始まったのは、「Family Complex」だあああ!!初っ端からテンションアがっちゃう。そして、ここで特筆すべきは、新たに追加された新メンバー3人の名前入りのパートだ。岡崎体育ありがとう。ステージ上の電光掲示は歌詞に名前が入る瞬間に点滅するという親切仕様だが、声を出せないのでやっぱり少し寂しいね…*3

続いて、「ちちんぷい」、「オメカシ・フィーバー」、「SHAKE!SHAKE!」とフルスロットルで行くぜ!と言わんばかりのゴキゲン・アッパーなナンバーでさらにボルテージをあげる。途中で美怜ちゃんが靴を飛ばしてしまうというエビ中あるあるをはさみ、MCで自己紹介。

そして、始まったのは僕の一番好きな曲、「頑張ってる途中」だ。全世界の頑張ってる”あなた”に送られるこの曲を歌うメンバーの後ろで流れる映像は大学芸会のための練習風景。こういう演出泣いちゃう。エビ中の新メンバーでも既存メンバーでも30超えたおじさんでも、「あたしたちまだまだ成長中!そう、頑張ってる途中!!」なのだ。

校長が碇ゲンドウ的に新メンバーにハッパをかける謎ムービーを挟んで始まったのは「サドンデス」。最初の脱落者は…柚乃ちゃんだwww相変わらず序盤で脱落する安本さん、興味のないりったん。そしてギリセーフで生き残ってラストに残った和香ちゃんをひなたが助ける。「同じ歩幅で歩いてきたじゃない」というセリフが「同じ歩幅でこれから歩いていこうね」という感じに変更されていて、これからこの9人でやっていくぞ、という気持ちが伝わる演出だった。

次は去年の大学芸会で初めて披露された「イエローライト」。去年は病と闘う安本さん不在の中、寄り添うように歌われたが、今年は9人編成で力強く歌い上げる姿にグッときた。

 

中盤

MCをはさんでガラッと空気が変わり、始まるのはユニットゾーン。安本さんが「君のままに」を歌いだした。背中合わせで歌うメンバーは…和香ちゃんだ!なんてことをするんだ、と僕は仰天した。新メンがグングン成長しているとはいえ、エビ中トップクラスの歌唱力を誇る安本さんとデュエットさせるとは。ただでさえエビ中オタクはハイタテキ!!と言われているのに既存メンバーとの歌唱力の差を見せつけるような演出、正気かよ!?

…しかし、その心配は杞憂だった。和香ちゃんは最年少とは思えない堂々たるパフォーマンスで安本さんとのデュエットをやり切った。素晴らしい。そこから小林、真山、星名、小久保の4人体制で歌い上げる「フユコイ」。ユニットゾーンの最後は柏木、中山、桜木による「アンコールの恋」。いずれも新メンバーの成長が感じられ、素晴らしかった*4

そして続くはダンスパート。新メンの中では心菜ちゃんのダンスがやはり圧倒的だが、締めくくるのはダンス部長のひなた。レーザーハープを使うかっこいい演出から始まるのは「EBINOMICS」!!!ここから始まるのは「かっこいいエビ中」ゾーン。黒を基調にした新衣装に着替えた9人が舞い踊る。てか、この衣装と短髪緑髪の安本さんがめちゃめちゃ似合っててかっこよかった。マジでヤバない?

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かっこいいエビ中ゾーンにかかせないでしょ、という「イート・ザ・大目玉」、「HOT UP!!!」と2曲。「HOT UP!!!」で2人抱き合って歌うひなたと安本さんさすがに尊すぎるのでは?

 

終盤

かっこいいゾーンが終わり、「あなたにとってファミリーとは?」というムービーが流される。和香ちゃんが「犬の散歩」と答えて??と思っていたら、ちゃんと説明してくれた。犬の散歩は人間が犬を散歩させているようだが、そのおかげで人間も散歩できている。それと同じで、ファミリーを元気づけているようで、自分たちがファミリーから元気をもらっている…ということだ。いい子だよ。

僕が何気にしっくり来たのが柚乃ちゃんの「友達」という言葉。お互いに好きな存在であるエビ中とファミリーは友達、という意味らしい。まぁ友達とは違うと思うが、結局俺たちがシンプルにエビ中が好きだ、という一番大事なことを柚乃ちゃんは本能的に理解している。

友達とは違う、という点では真山の「特別たち」という言葉がしっくりくる。真山が「アイドル歌会」で詠んだ短歌にも登場したが、アイドル生活10年超の真山はアイドルとオタクの何とも表現できない関係性をよく理解している。

お父さん?恋人?友達?誰目線?

遠くて近い特別たちよ

そして、ここからは「YELL」で正統派アイドル・私立恵比寿中学の本領発揮だ。そして「スーパーヒーロー」から「星の数え方」。圧巻。

ついで、「あなたにとってエビ中とは?」というムービーが始まる。「家」、「幸せになってほしい人」、「青春」等、九者九様の答え。心菜ちゃんの「人生の分岐点」という言葉に重みを感じる。

そして原点「仮契約のシンデレラ」、「スターダストライト」。後ろで流れるムービーは各メンバーの加入時からの軌跡。本当に色々あったよねぇ。「感情電車」、「ジャンプ」の辺りからは完全に涙腺崩壊。

そして、「なないろ」。大サビではアカペラで披露された。その時に僕はなぜか、「安本さん、今度は泣かずに歌えたね」と思った。「なないろ」は何度も歌われてきた曲だし、安本さんが泣いたのは僕が知る限りでは2017年7月16日の1回だけだったのだが、なぜかそう思ったのだ。


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アンコール

そして、メンバーがスタッフの名前を綴る様子を映したムービーの後、ステージ上に運び込まれる機器。バンドセットの始まりだ!

アンコール1曲目は「えびぞりダイアモンド」。最後に小声で囁く「ダイアモンド」を引き継いだのは和香ちゃんだ*5エビ中がいれば、ハッピーなエブリデイだよ、本当。。。

そして、「自由へ道連れ」。もともと椎名林檎の曲、生バンドが似合わないわけがない。ひなたがあまりにもカッコ良すぎて、恋に落ちそうになった。そして、真山が「この曲で運命と戦い続けます」と宣言して始まったのは6人のエビ中がEbichu Prideで最後に歌った「響」。FCイベ、春ツアー開催の発表を挟み、ラストは「Anytime, Anywhere」で大団円。

 

9人体制の私立恵比寿中学とは

大学芸会のミッションとその構成

今回の大学芸会でまず感じたのは”てんこ盛り感”だ。冒頭に書いた通り、今回の大学芸会は新体制となったエビ中が初めてやる長尺のライブ。もちろん新メンバーのパフォーマンスは既存メンバーに比べると未熟かもしれないが、新メンバーを入れたことによりグループとしてパワーアップした姿を見せるというミッションがある。

そのため、これまでエビ中が獲得してきた魅力を新メンバーを入れた形で表現する必要がある。ライブの構成と各パートで伝えたかった事は、以下のような感じだろうか。

  1. 「イヤフォン・ライオット」~「イエローライト」・・・新体制、この9人で頑張っていくよ!
  2. 「君のままで」~「アンコールの恋」・・・歌で気持ちを伝えるよ!新メンバーもいいでしょ?
  3. ダンスパート~「HOT UP!!!」・・・ダンスとパフォーマンスでかっこいいエビ中見せつけるよ!
  4. 「YELL」~「星の数え方」・・・王道アイドル・エビ中はあなたのために歌を届けます!
  5. 仮契約のシンデレラ」~「なないろ」・・・エビ中はこれまでの全ての時代を受け入れて進んでいきます!
  6. アンコール・・・バンドセットのエビ中も最高でしょ?これからもよろしくね!

そして結果はどうかというと、新メンバーは見事に存在感を発揮したし、エビ中がグループとして新フェーズに入ったことを強く感じさせるものだった。要は最高だった。

 

エビ中に起きた変化

新メンバーが吹かせる新しい風を感じた今回のライブ。具体的に新メンバーがどういう点でエビ中に変化を与えたのか整理してみた。

まず1点目は、人数増加によるダンスパフォーマンスの選択肢の広がりだ。そもそも、エビ中はメジャーデビュー時に9人で活動しており、その時期に発売された楽曲の振付は、その人数を前提に考えられている。そのため6人時代に9人時代の楽曲をやる時などは、「ここのフォーメンション変更、大変そうだな~」と思うシーンなんかがあった。それがもともと想定されていた人数でのパフォーマンスに回帰することができたのだ。

2点目に挙げられるのは、メンバーの幅の広がりによる楽曲の聞こえ方の変化だ。例えば、僕は去年ブログでエビ中が「売れたいエモーション!」を歌うことについて触れた。

idol-consideration.hatenablog.com

今回の大学芸会で「売れたいエモーション!」はパフォーマンスされなかったが、新メンバーが入ってきたことにより一部の楽曲の聞こえ方が変わったように思う。例えば、パフォーマンスが未成熟な新メンが歌う「頑張ってる途中」は説得力が増すような気がする*6エビ中がこれまでパフォーマンスに磨きをかけてきたことによって得た魅力はそのままに、昔のエビ中のような楽しみ方も同時にできるようになったのだ。

 

2022年の私立恵比寿中学

今回のライブでは、ニューアルバムの発売が発表された*7。新体制で新たに発売されるニューアルバム、そのタイトルは『私立恵比寿中学』、セルフタイトルだ!

セルフタイトルで思い浮かぶのは、べビメタの『BABYMETAL』、オサカナの『sora tob sakana』とか、いずれも名刺代わりのファーストアルバムだ。結成10年を超えてセルフタイトルでアルバムを出すとはなんと意欲的な事だろうか*8。常に新しいワクワクを提供してくれるエビ中、2022年も楽しみだ。

 

 

 

タイトルは「イヤフォン・ライオット」(私立恵比寿中学 )より。

*1:まぁ僕が見たのは2日目だったので厳密には前日にやっているのだが

*2:アンコール1曲目のみ変更

*3:本当はファミえんでやろうとした演出じゃないかな…と予想している

*4:マジで入って半年?って感じ

*5:俺の中では未だにぁぃぁぃのイメージなんだよな…

*6:もちろん既存メンバーだって頑張ってる途中なのはわかってるんだけど、彼女たちがそれを歌うにはパフォーマンス力が高すぎる

*7:1日目に発表だったので、僕は発表シーンは見てないが。

*8:ももクロも結構最近出してるがスタダはそういうの好きなのかな