とあるKSDDのアイドル考察録

アイドルオタク7年目のKSDDがアイドルに関して色々考えてみます

夏の扉もう二度とない ~sora tob sakanaが解散する日~

5月下旬、衝撃的なニュースが飛び込んできた。 

僕が最も推しているグループの一つ、sora tob sakanaが解散するということだ。第一報を聞いた時は動揺したが、解散を受け止められるように、オサカナの魅力についてじっくり考えてみた。

 

 

楽曲の魅力

照井サウンド

オサカナの魅力は何か、と言われた時に最初に挙がるのはその楽曲群だろう。具体的には、照井順政さんが手がけるポストロック・エレクトロニカを基調とした特徴的なサウンド*1広告の街はその最たる例で、開始早々入る特徴的なブレイクは最初に聞いた時に度肝を抜かれた。そういった楽曲面の魅力は、先日の「関ジャム」でもガッツリ取り上げられて注目を集めた。


広告の街(sora tob sakana)演奏動画

2016年、この広告の街とそれが収録された名盤sora tob sakanaをきっかけにオサカナは楽曲派アイドルとしてその名を轟かせた。この年のアイドル楽曲大賞でオサカナはインディーズ楽曲部門2,4,6位、アルバム部門1位を獲得した*2

 

アイドル性との両立

しかし、僕が思うオサカナ楽曲の最大の魅力はそういった変則的なサウンドと、彼女達のアイドル性を両立させたことだったと思う。例えば帰り道のワンダーは弾けるような楽しさがあり、曲中ではコール&レスポンスが定番となっている*3


sora tob sakana / 帰り道のワンダー(band set)

 

他にも、2017年に発表されたribbonは耳に残るリズムに乗せて壮大な世界を描き出す名曲だ。全編アニメで紡がれたMVも印象的だ。オサカナの楽曲はVJなども駆使し、サウンド以外の面からも世界観を描くことが意識されている


sora tob sakana / ribbon(MV)

 

「ノスタルジー

これらの楽曲の根幹にあるのは、「ノスタルジー」というキーワードであり、照井さん自身もそれを明言している。

Zi:zooさんから「ポストロックアイドルをやりたい」、ということで呼ばれたんですけど、僕はtoe(2000年結成のポストロックバンド)以降のポストロックをそのままアイドルと組み合わせても単純に食い合わせが悪いだろうと思っていて。1回聴いただけで口ずさめないし、変拍子は難しいし、踊れないし。だから僕はそのままの「ポストロックアイドル」をやる気はあまりなくて。低年齢のアイドルなら「ノスタルジーなもの」をやろうと思ったんですよ。

「ポストロック×アイドル×ジュブナイル」は何を生み出す? sora tob sakanaサウンドプロデューサー・照井順政に訊く - Real Sound|リアルサウンド

 その「ノスタルジー」が最も表れていると感じるのがクラウチングスタートだ。サウンドもそうだが、その歌詞は僕のようなオッサンにはまぶしすぎる。こんな青春は自分には全く無かったのだが、なんか心に来るものがある。。。エモい。

駆け出した気持ちが空へと飛んでゆく
胸のモヤモヤなんて追いつけない速さで飛んでく
そうだ
あなたの指に触れた時に気が付いた
私きっと今恋をしてる
風の中で 笑うあなたがいる

クラウチングスタート

クラウチングスタート

  • provided courtesy of iTunes

 

各メンバーの魅力

オサカナは楽曲面に言及されることが多いし、最近までは全員黒髪で衣装で色分け等していなかったので、新規オタクは愛ちゃんとなっちゃんの見分けに苦労することもあったようだ*4

しかし、各メンバーはそれぞれ魅力的であり、知れば知るほど深みの出るメンバー揃いだ。(左から神﨑風花、寺口夏花、山崎愛)

 

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神﨑風花

通称ふぅちゃん。この3月に高校を卒業した。世界三大風花の一人である*5。メンバー唯一のショートカット。出身は岡山県で、幼い頃は穴を掘って遊んでいたらしい。

よく通る声を持っており、歌唱面で引っ張るメンバーだ。しかし、ふぅちゃんの最大の魅力はその豊かな表情・ステージングだ。2019年のTIFで髪をバッサリ切って登場した彼女の表情にドキッとしたのは僕だけではないだろう。

 

寺口夏花

通称なっちゃん。最年長メンバーでもうすぐ20歳。最近は髪色が頻繁に変わる。

なっちゃんは身長が一番低く、童顔のため最年少に見られがちだ。真っ直ぐな声のメンバーが多いオサカナの中でなっちゃんアニメ声は目立ち、良いスパイスになっている。あと、「めんどくさい」という旨の発言をよくしていたり、カニが好きで以前は「なつかに」と自称していたり、4年経っても掴みきれない不思議な魅力がある子だ。

 

山崎愛

通称まな、まなてん、まなちゃん、山パンさん、等。最年少メンバーで現在高校2年生*6

愛ちゃんはオタクである。僕にはよくわからないが、ガチャで一喜一憂していることがうかがえる。また、ステージではあまり大きい表情変化がないので、逆に満面の笑顔を見ると、めっちゃ愛ちゃん楽しそうじゃん!と幸せな気持ちになれる。素直で素朴な声をしており、上述のノスタルジー感を最も表現できるのは愛ちゃんではないかと思っている。ここ1年以上毎日ブログを書いており、僕はその自由闊達な文体に魅せられてしまった。

ここ最近毎日アイス食べてたんですけど

今日分のアイス食べれてないんです

アイスが食べたい😢😢😢😢

毎日のように食べてたら

そりゃアイスもなくなるよね

あんなにたくさん買ってあったのに

アイスが食べたい😢😢😢

アイスが食べたいです😢😢😢😢😢

買いに行くの面倒だしな

お家にアイスがあるだけで幸せなのに

なんのための冷凍庫????

アイスのためでしょ

アイス買って❗️❗️❗️❗️❗️

明日も明後日もアイス食べたいです

一日お疲れ様でした

山崎愛 | sora tob sakanaオフィシャルブログ Powered by Ameba

 

風間玲マライカ(卒業済)

通称れい、れいちゃん。2019年5月に卒業。ふぅちゃんと同い年。マライカスワヒリ語で「天使」の意味。パキスタン人の父を持つハーフで、声も美しかった。卒業公演も素晴らしいものだった。 

idol-consideration.hatenablog.com

 

 

彼女たちの持つ「尊さ」

楽曲、メンバーと見てきたが、"グループ"としてのオサカナの魅力は何だろうか。そう思ったときに自然と浮かんだ言葉は、オタクが良く使うワード、「尊い」だった。オサカナの「尊さ」がどこに起因するものか考えてみた。

「尊さ」を生じさせる原因として最初に思いつくのは、神々しいものに対する畏敬の念だ。例えば、BABYMETALはMCを極限まで排し、SU-METALの透き通るような歌声でその神聖さを表している。僕も先日の幕張のライブでSU-METALの前に平伏しそうになった。しかし、ひたすらアイスを食べたがるオサカナメンバーにそういった神々しさのようなものは感じない。

苦難を乗り越えることにより、「尊さ」が生まれることもある。例えば、私立恵比寿中学は、メンバーの数々の別れや、メンバーを襲う病魔を乗り越えてステージに立ち、その尊さに僕は涙した。しかし、玲ちゃんの卒業こそあったがオサカナにそこまでヘヴィな苦難が訪れたという印象はない*7

これらから思うに、「メンバーの自然さ」+「楽曲のノスタルジー」がオサカナの「尊さ」の源泉なのではないか。彼女たちはその中高生時代を自然さを失うことなく、飄々と暮らしてきた。しかし、その時間は二度と訪れることがないものだ。だからこそ、僕たちはオサカナの楽曲を通して、その自然さの中に潜む「ノスタルジー」を感じ、「尊い」と思うのだ。

 

メンバーの自然さはいろんなところからうかがえる。例えば、友達とおやつを食べながらゲームをするのは楽しいものだ*8

他のグループの女の子と浴衣を着て花火大会に行くのはワクワクすることだろう*9

若い女の子4人でディズニーに行ったのは、きっとかけがえのない思い出だ。

ameblo.jp

 彼女たちのラジオ「sora tob sakanaの飛ばなきゃ損損!!」を聞いたことがあるが、少女三人が楽しく喋っているだけで、オタク以外には全く面白くないコンテンツだった。また、以前OTOTOYでメンバー間インタビューという企画があった。下記回は玲ちゃんからなっちゃんへのインタビューだったが、こんなにもユルいやり取りが行われていた。

──じゃあ次。空は飛びたいですか?

寺口 : あんまり飛びたくない。

──なんで?

寺口 : 絶叫系が苦手だから。

──そっか。

寺口 : テレビの映像で、パラシュートを乗ってる側から撮ってる映像を見てたら酔っちゃって。

──そうなの?

寺口 : うん。多分無理だなって思った。

sora tob sakana、メンバー間インタヴュー 第2回 - OTOTOY

 でも、それがいいのだ。だって年頃の女の子の「自然」って多分そんな感じだ。そして、彼女達の自然さを重視することは運営も意図していたと思われる。照井さんも、彼女たちにキャラ付けしないことの重要性を語っている。

アイドルやアニメのキャラに属性をつけて「赤の子はこう、青の子はこう」って記号化して消費するのがイヤだなと思っているので、それはしないようにと考えています。エンタメとしては必要なこととは思うんですけど、無理にキャラづけせず、ライブのMCもなるべくコントロールしないという方向です。

「ポストロック×アイドル×ジュブナイル」は何を生み出す? sora tob sakanaサウンドプロデューサー・照井順政に訊く - Real Sound|リアルサウンド

 

最後に

彼女たちは芸能界にいるとは思えない、普通の少女達の雰囲気を纏いながら、空を飛ぶような軽やかさでアイドル界を駆け抜けていった。

sora tob sakanaの姿が見られなくなるのはやっぱり寂しい。軽やかさを保ちながら、どんどん大きく羽ばたいていく彼女達をまだ見ていたかった。しかし、解散がオサカナの選択なのであれば、それも彼女たちの「自然」だとして、受け入れるしかない。

解散ライブは9月6日、日本青年館ホールで行われる予定だ。残りわずかな時間、彼女たちの姿をしっかりと見届けたい*10

 

タイトルは「夏の扉/sora tob sakana」より

*1:この辺りの話を、似非楽曲派オタクの僕が書くとツッコまれそうで怖いが…

*2:広告の街魔法の言葉夏の扉がランクイン

*3:このリキッドルーム公演は最高に楽しかった

*4:担当カラーは一応あるのだが、色分けグッズなどを作ることは少ない。そして、僕もいまだに3人の担当カラー覚えていない

*5:後の二人はTask have Funの熊澤風花、LADYBABYの唐沢風花というのが通説だ

*6:最初高3って書いてました。すみません

*7:もちろん、彼女達としての苦しみを乗り越えているのだろうが、あまりそれを感じなかった、ということだ

*8:僕も小学生時代は64で、大学生時代はWiiスマブラマリカーをしていた

*9:もちろん、僕にはこんな経験はない

*10:ラストライブのチケット取れるといいなぁ…