とあるKSDDのアイドル考察録

アイドルオタク9年目のKSDDがアイドルに関して色々考えてみます

きっとずっと中学生だよ、いいだろ? ~『10,13,14,15 BOSSと子分たち』ライブレポート~

私立恵比寿中学に8年ぶりの新メンバーが加入したのは2021年のことだった。その新メンバーを選抜するオーディションにて、黒マスクで鋭い眼光を新メンバー候補生たちに向けて送る人物こそ、柏木ひなたであった。そンな姿から彼女はこう呼ばれるようになる───────────「BOSS」と。

そして、そんなひなたは2022年4月、今年いっぱいでエビ中を卒業することを発表した。卒業も差し迫ってきた10月~11月にかけて行われることとなったのが4つのひなたによるプロデュース公演だ。

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僕は彼女の勇姿を見届ける数少ないチャンスだと思い、全ての公演に申し込んだ。そして4つ中3つで撃沈!唯一当選したのがひなたと前述のオーディションで加入した新メンバー3人による公演、『10,13,14,15 BOSSと子分たち』だった。

正直なことを言うと、僕は「これ当たるなら、他の公演当たってくれよ〜」と思ってしまった。もちろん新メン達は好きだが、ひなたと安本さんがステージで共演する姿*1や、ソロで圧倒的なパフォーマンスを見せつけるひなたの姿を見たいと思ってしまった*2

そういうわけで、僕は数少ないひなたの雄姿を見る機会、まぁ見ておこう~くらいの気持ちで立川に向かったのだが、想像していたよりずっと心を動かされてしまった。ライブを見て、思ったことを記録しておきたい。

 

 

『10,13,14,15 BOSSと子分たち』ライブレポート

開演~仮契約のシンデレラ

立川ステージガーデンは初めて行く箱だ。入ると想像より広くて驚いた*3。僕の席は1階15列目、そこまで近くはないが通路前で悪くない。ステージは上下2段に分かれて構成されており、左右にそれを行き来するための階段が設置されている。

ebitureで入ってきた下段に登場した新メン3人に続いて、堂々と上段に登場したひなた。高めにツインテールを結わえた可愛い髪型ながら、厳ついジャンパーにグラサンをかけており、さすがのBOSSオーラ!否が応でも「BOSSと子分たち」という今日のライブのコンセプトが伝わってくる。

そして始まった1曲目は「ハイタテキ!」だ。2サビ前のりったんによるお馴染みの「惚れた?」をいうひなた、可愛いぞ!!続く2曲目はエビ中初期の名曲「誘惑したいや」。始まったところで意図を察した。コレは新メンバーオーディションの課題曲だ。堂々とパフォーマンスする3人…その成長にジーンとしちゃう。


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ここで一度MCを挟む。アゲ曲ばかりでいくから覚悟しろよ、とのこと。そして正式自己紹介ロングバージョンをするが、久しぶりだからかゆのぴが「You know?」と言うべきところを「I know」と言ってしまって皆にツッコまれる一幕も。マイペース手羽先少女の本領発揮という感じだ。

そして次のブロックは「Anytime, Anywhere」シンガロン・シンガソン」、「仮契約のシンデレラの3曲!ライブの定番曲だがこのメンバーでやるのは新鮮*4!!安本さんパートの「はーい、お疲れちゃ〜ん」もひなたが担当。

 

コーナー①「箱の中身はなんだろな?」

今回のライブ、色んなコーナーをやりたい!ということで唐突に始まったのが「箱の中身はなんだろな?」コーナーだ。グッパでわかれて、心菜ちゃん・ゆのぴチームが先攻。しかし、心菜ちゃんが物怖じせずに箱に手を突っ込み、騒ぎながらもわずか17秒でパイナップルという正解にたどり着く!さすがヤンキー、度胸がある。

それに対して後攻のひなたとののかまるペア。箱の中身はヤリイカだ。ギャーギャー騒ぎながらひなたが手を突っ込むが、ビビりすぎて箱の下部に置かれたイカには全然手が当たらない!ののかまるに交代してやっとこさ正解。イカを触った手を「くっせぇ」と言いながら、新メン達にこすりつけるひなたの姿は昔の悪ガキ時代を彷彿とさせるものだった。

 

新メンとのデュエット

バラエティコーナーの後に始まったのは新メンとのデュエットコーナーだ。最初に登場したのは心菜ちゃん。選ばれた曲は「キャンディロッガー」!これがめちゃくちゃ良かった。低めの心菜ちゃんの声とこの曲の曲調はベストマッチしている。そして、台詞を「BOSS愛してるよ」と言い換えてカッコよく決める!心菜ちゃんはこの曲を生誕でも披露したということだが、納得できる素晴らしいパフォーマンスだった。

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「今日はボスが一番チビです」って言って身長いじりをしながらハケた心菜ちゃんに次いで出てきたのはギリギリ身長がひなたに勝っているゆのぴ。選ばれた曲は「さよなら秘密基地」。曲の中で色んな歌い方を使い分けなければいけない難しい曲だと思うが、確実に向上したパフォーマンスを見せてくれる。ゆのぴ自身、好きな曲だということで、「楽しそうに歌う柚乃を見るのは楽しい」ともBOSSからもお褒めのお言葉。

トリを飾るののかまるの選曲は「大好きだよ」だ!!なんつーナイスチョイス。久しぶりに聞いたこの曲、ののかまるが歌うのめちゃくちゃ可愛いらしくてたまらなかった!!!直前に急遽追加したというBOSSとのハモリもバッチリ決まっていた。終わった後のMCでひなたが「ののかは可愛すぎて、あたしが産んだんじゃないか?と思う時がある」という母性を出してしまうのも納得の可愛さ。

 

コーナー②「日本語を英語で説明しよう!」

エビ中放送部でやったコーナーをここでもやってみよう、ということ。指定された日本語を英語で表現して他のメンバーに伝えるというゲームだ。

1問目を担当するのはゆのぴ、指定ワードは「うちわ」だが、全然英語をしゃべらず客席を指したり、ジェスチャーで表現したり、いきなり別のゲームになっちゃってる!

その後も、ひなたがテーマ「おみくじ」に対しておみくじの番号が書かれた木の箱から振って番号を引き出す様子を「シャカシャカ、ウッド、ボーン!」と表現したり、ゆのぴがテーマ「誘惑したいや」に対して「ミュージック、ツー!」と言って今日の2曲目であることを伝えたりとなかなかにカオスな展開。最近のエビ中は結構大人になっているところがある*5が、まだ中高生の3人とひなたのワチャワチャ感、楽しすぎるぞ!

 

大人はわかってくれない、キングオブ学芸会のテーマ

そんなワチャワチャコーナーから一転して始まったのは「大人はわかってくれない」だ。大人に反抗する少女たちの想いを歌った曲だが、このシチュエーションでこの歌詞を聞くと、大人になって卒業するひなたへ新メンバーが思いを送るようなメッセージにも思えてグッと来た。

大人に託された夢は
私たちはちゃんと感じてるの

その後に披露されたのは「キングオブ学芸会のテーマ ~Nu Skool Teenage Riot~」だ!!なんと新体制で披露するのは初ということだ。イントロが流れた瞬間、会場からもどよめきが聞こえた。ひなたに語り掛けるようにゆのぴが言う「幸せだなぁ」のパート、とても良かった。

 

コーナー③「2倍速で踊ってみた」

なんとコーナー3つ目。その名の通り、ダンスを2倍速でやってみるコーナーだ。新メン→ひなたの順で3ターンということでひなたは3回も踊らされる羽目になる。選ばれた曲はいずれも元々のテンポが速めの曲が多くてハードそう。担当した曲は以下の通り。

心菜→ちちんぷい
ひなた①→PANDORA
柚乃→青春ゾンビィィズ
ひなた②→I'll be here
和香→春休みモラトリアム中学生
ひなた③→ちがうの
全員→Go!Go!Here We Go!ロックリー

やっぱりひなたと心菜ちゃんの体幹が強い!倍速になりながらも、音にダンスを合わせにいっている感じがすごいな…とバラエティコーナーにもかかわらず素直に感心してしまった。

 

制服”報連相”ファンク~イヤフォン・ライオット

本編ラストのブロックだ。「制服”報連相”ファンク」はエビクラシー収録されたりったんのフィーチャー曲だが、この曲の自由なノリと新メンバーのクソガキ感が良いバランス。「紅の歌」は、言わずと知れたひなた無双曲。その伸びやかな歌声とキレのあるダンスがバチっとハマる。

そして本編最後を飾るのは「イヤフォン・ライオット」。新体制最初の楽曲であり、この4人の初共演の曲。思い出もひとしおだろう…イキイキと歌い踊る新メンとひなた、エモい。。。

 

アンコール

アンコールでTシャツ姿になって出てきた4人。最初にMCを挟んで、ひなたが「予想外です」と語って始まったのは「コミックガール」だ!!!これも新体制になってから初披露!!実は2021年のファミえんで披露する予定だったらしいので、1年半越しで実現できたことになる。しかし、この歌詞の一昔前の漫画の世界観、新メンには伝わっているんだろうか?w*6

そして、ひなたの犬の鳴きまねは相変わらず上手い。いつもより多めに吠えていた気もする。

アンコール2曲目は「頑張ってる途中」だ。がんばれ、というのではなくすでに頑張っている人に優しく、楽しく寄り添ってくれるこの曲は、僕がエビ中楽曲の中で一番好きな曲だ。新メンバーの3人が主役のように上段に立ち、ひなたに捧げるように歌ったこの歌詞、ちょっとだけ泣いちゃった。

しょんぼりしたりも時々するけど
でもほら声を出して

そして最後の曲に行く前に、「次で最後の曲になります、最後までアゲ曲です。急に”いつまで黙っているの~♪”とか歌いださないですからね(笑)」と言ってここ数年のエビ中のライブの定番の締め曲「星の数え方」をネタにしてフォーメーションにつく4人。僕は(最後のアゲ曲なんだろ・・・HOT UP!!!か、それともイート・ザ・大目玉か、あるいは放課後ゲタ箱ロッケンロールMX??)なんて考えていたのだが、始まったのは、「いつかのメイドインジャピャ~ン」だ!!!会場からひときわ大きなどよめきが上がった。

元々は2013年のさいたまスーパーアリーナでの当時の中3*7ユニット、くっつきブンブンの曲だったが、その人気からファミえんなどでも全員で歌うことがあった人気曲だ。しかし、その後、りななんが逝去した後はほとんど披露されることはなかった。ぁぃぁぃが転校する時には、りななんの映像と声を入れてパフォーマンスしたことがあったが、あれは泣いたな。。。

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この楽曲を新メンとひなたでやる、ということの意味は言うまでもないだろう。ひなたはこれまで活動して蓄えてきたエビ中の財産を新メンバーに託しているのだ。

こうして最高のライブは幕を閉じた。

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セトリ

 

ひなたの想い

今回の公演ではひなたによる「新メンバー3人を主役にしようとする意志」を強く感じた。オーディション課題曲だった冒頭2曲は言わずもがな、それぞれの個性を最大限引き出すデュエット、面白さを引き出すバラエティ企画、勢いのある楽曲ばかりで構成されたパワー系のセトリ…実際にひなた自身から、観客に対して「新メンの成長すごくないですか?」と問いかけるシーンもあった。

この公演をこなすのは、新メンにとってかなり高いハードルだったと思う。大学芸会のレッスンも始まっているだろうし、彼女達にはまだ学業もある*8。既存曲での追加歌割、4人用のフォーメーション・振り入れ、それに加えて新体制初披露曲など、プレッシャーのかかるファクターは十分にあった。。。でも、ひなたはそれを彼女たちができると思って挑戦させ、新メン3人は見事にそれに応えた。

 

そして、新メンの話ばかりになってしまっているが、何よりすごいのはこんな公演を4つも同時進行でやってのけるひなたの底知れないタフネスと努力だ。彼女は最後まで私立恵比寿中学のメンバーとして、全力で駆け抜けようとしているのだ、と痛感した。それはひなたがエビ中からいなくなってしまう、ということと同義だ。

 

受け継がれるもの

僕はこの公演を見て、ジョジョの奇妙な冒険第4部のラストシーンを思い出した。杜王町を離れる際に、心配する様子を見せる承太郎にジョセフはこう言った*9

かつてわしらもエジプトに向かう時に見た「正義」の輝きの中にあるという「黄金の精神」をわしは仗助たちの中に見たよ……
それがあるかぎり大丈夫じゃ……

 

来月からエビ中には2人の新メンバーが加わり、心菜ちゃん・ゆのぴ・ののかまるの3人は「新メンバー」を卒業し、初心者マークを剝がすことになる。まだまだ頑張ってる途中かもしれないけど、彼女たちの中にはエビ中が受け継いできた精神がきっと宿っているから、ひなたが卒業してもエビ中は大丈夫だよ。僕はそんなことを思った。

立川ステージガーデン前のオブジェは、これからも続いていくカラフルなエビ中の未来を象徴しているようだった*10

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タイトルは「キングオブ学芸会のテーマ ~Nu Skool Teenage Riot~/私立恵比寿中学」より

*1:僕は安本推しだ

*2:しかも、立川ちょっと遠い…

*3:キャパも2500あるらしい

*4:新メン入ってから一度もコールできてないが、「ゆのちゃん!」か「ゆのぴ」かどっちでコールすべきなのかな?

*5:それはそれでとても大きな魅力だ

*6:今時の漫画、作者がページ外からツッコむ、みたいなことあるのかな?

*7:安本、廣田、松野、柏木

*8:まぁどこまで真面目にやってるかは怪しいがw

*9:いきなり全然関係ない話ですみません

*10:miraiというオブジェらしい。https://www.emmanuelle.jp/#/mirai/