もう秋も終わり、年の瀬のこんな時期に夏フェスの話をするのは遅きに失するが、この夏、東京以外を拠点とする2つのアイドルのフェスに参加した。
一つが北海道で行われた『A Villa idol festival HOKKAIDO 2025』、もう一つが京都で行われた『京都爛漫会2025』だ。どちらもとても思い出に残るものになった。2つのアイドルフェスを振り返って、ご当地アイドルがその土地でイベントを打つという事の意義を考えてみたいと思う。
A Villa idol festival HOKKAIDO 2025
開催概要
A Villa idol festival HOKKAIDO 2025(以下安平フェス)はタイトル未定を擁するTSUIMA.incが主催する北海道のフェスだ。以下、開催概要。
- 開催日時:2025年8月31日
- 開催場所:北海道安平町ときわ公園
- 出演アイドル:タイトル未定 / CYNHN / fishbowl / NEO JAPONISM / Ringwanderung / きのホ。 / Mirror,Mirror / さとりモンスター / キングサリ / selfish / AOAO / Tohkei / 限りなく白く / BYBBiT / iluxion
- チケット代:
VIPチケット(前方エリア&Tシャツ付き)¥12,000
Tシャツ付きチケット ¥6,000
無料チケット ¥0
僕は無料チケットで参加した。ぶっちゃけTシャツは要らなかったし、前年度に開催された様子を見る限り、前方で入るメリットもあまり感じなかったからだ。
このフェスの最大の特徴はやはりその立地だろう。安平町というのは新千歳空港から車で20分程度、札幌からは車で1時間程度というド田舎…もとい自然が豊かな町であり、公共交通機関で行くハードルはかなり高い。そのため、このフェスのための臨時のツアーバスが用意されていた。
各ステージの感想
会場までの道中
幸いにも一緒に参加する友人がいたため、僕は前日に札幌入りして一泊してからカーシェアサービスを利用して車で向かった。途中、新千歳空港で追加でオタクを拾ってから、下道で会場に向かう道中で牛や馬を見かけて、「北海道っぽい!」とテンションが上がる*1。また、コンビニに寄ったときにおじいさんが「おにぎり温めて」と言ってて(これが「おにぎりあたためますか?」のヤツだ!)と思う。こういう何気ないやり取りも遠征の気分をアゲてくれる。
入場して、オタクが持ってきてくれたビニールシートに荷物をまとめて置いたら前方へ向かう。

さとりモンスター
さとモンは前日の札幌のライブではお休みしていたつきちゃんが復帰してて嬉しい限り。ライブはゴーインマイウェイからスタート!ミョーホントゥスケ広場曲でライブを始めるとわかりやすくテンションがあがって良い!電光石火あいらぶゆーのサビの振付良いよね…踊れるようになりたいな~と思う。
MCの流れからねねころが好きな人がいるの、みたいな寸劇で色白のなのぴに告白して「白い恋人ができた〜!」という謎ノリから始まるのは、なるてるとる!牧歌的な雰囲気でとても良い…ラストは英雄讃歌で気持ちよく締める!
滝沢ひなの(NEO JAPONISM)&冨樫優花(タイトル未定)コラボ
後方で座って眺めていたが、ガシさんが「この曲は誰と歌うかで意味が変わる曲です」と曲振りをして始まった「にたものどうし」はさすがに前に行った。対照的だけど似てるところがあるのかもね…今年のTIFで見た中島みゆきのファイト、去年のTIFでやったというフラカンの深夜高速、いずれも二人の歌唱力・表現力が存分に発揮されていた。
昼食
キッチンカーがいくつかステージの後方で出ていた。帰りの運転担当だったのでお酒を飲めなかったが、クラフトビールを出す屋台なんかも出展されていて、なかなか心惹かれるものがあった。お昼は米風亭の油そば食べた*2が量が足りなかったので、マチガイネッエゾベースのソーセージとナチョスをいただく。美味い!!阿部葉菜のタオルが掲げてあって愛だね…となった。
Ringwanderung
堂々とリンワン登場して、ライブはmemoriesでスタート!Lilyは一番好きな曲だが、倫子さんがナタリーのインタビューで好きと言っていたのでこの場所でも聞けて嬉しかった。ロングトーンが至高なんだよ…
LVの「こっからギア上げるぜ」感!野外フェスでLast summer daydreamやったらそりゃイエッタイガーサークルからのフルマサイや!
CYNHN
CYNHNは「わるいこと」から。TIFで初披露を干しちゃったので初見だ!何がそう思わせるのかわからないが、安平の雰囲気に合っていてとても良かった…ねるちゃんの落ちサビでちょっと泣きそうになった。少し涼しい夏をお届けします、というMC後、バニラ!(今日はそっち系の日か!?)となる。
空気とインクの最中でステージ上に飛んでいったシャボン玉がちきちゃんの前で割れたの、美しい瞬間だった。そして、くもりぎみ、いいおくりと訴えかけるような2曲。こんないい日、捨てられるわけないね…ラストは氷菓で夏の終わりを感じた。
きのホ。
そんな流れできのホ。の出番だが、こはるちゃん独唱の夕立雲で自分たちの空気に持ってくる!更に反面教師でブチ上げる!しかし新曲の大問題、当然初見だったが、これが恐ろしく良かった…じっとただ見入ってしまった。人を惹きつけるパワーのある曲だ、これはきのホ。の代表曲の一曲になるかもしれん…と感じ入った。
fishbowl
トリ前はfishbowl!このあたりで日も落ちてきてフェスも終盤だな…と思う。藤色の金曜初披露の新衣装だ。しかし、CYNHNの特典会中だったため、六感と八月は特典会列に並びながら見る。
熱波で戻って飛ぶ!二日前と同じく蒼霞→斜陽が良すぎた。
タイトル未定
トリはもちろんタイトル未定!!!
踏切のSEでオタクが一斉に「おぉ…」とどよめく。灯火で軽やかさに、黎明で重たく、走り出してを巧みを見せるステージ!
新曲初披露の余白!!冒頭手を繋いで回る振付でアベハナのスペースが空いてて心がぎゅっとなる。未定らしい、真っすぐで優しいメロディの曲だ。
そして最後に披露されたのは夏のオレンジ!!会場が一体になる!!
MCで乃愛ちゃんが涙ながらに「北海道でアイドル文化を根付かせたくて、このフェスでたくさんの人がこの場所に来てくれるのが嬉しい」と語るのはグッとくるものがあった…こちらこそ、ここに連れてきてくれてありがとう!!!
京都爛漫会
開催概要
僕が参加したもう一つのフェス、京都爛漫会はきのホ。やAQを擁する古都レコードが主催する京都のフェスだ。以下、開催概要。
- 開催日時:2025年9月21日
- 開催場所:京都市役所前広場
- 出演アイドル:きのホ。/ さとりモンスター / NUANCE / くぴぽ / SITUASION / 0番線と夜明け前 / AQ / スパンコールグッドタイムズ / Ringwanderung / THE ORCHESTRA TOKYO / カイジューバイミー / カラフルスクリーム / タイトル未定
- チケット代:
VIPチケット(前方エリア&Tシャツ付き)¥10,000
一般チケット ¥3,500
昨年もVIPで参加し、非常に満足した僕は今年もVIPチケットで参加した。このフェスの特徴は京都市役所前というロケーションである。京都最大の繁華街でもある河原町通りに位置する京都市役所は京都出身者の僕にとって非常になじみ深い場所である。また、京都市役所は明治期の名建築であり、そこで躍動するアイドル達を見れるのは、このフェスならではの素晴らしい経験だった。
各ステージの感想
きのホ。(1回目)
コネクトでポップな感じで始めるが、反面教師、相合傘、ゲイン、DANGER、秋刀魚と分かりやすく盛り上げセトリ!らねちゃんは客席降りてカレーをアピール(全然見えんかったが)!
くぴぽ
1回抜けて特典会に並んでたらくぴぽが1曲目から客席降りしててワロタw早いだろ!
そのまま飲食エリアで大問題ビール。ホップが効いててクラフトビールって感じで美味い。と思ったらテントにまきちゃんが登っててみうらさんや上田さんと「クリトリック・リスかよ」と笑ってた。やりたい放題だな!!
SITUASION
今日も赤白衣装。初手ジャパホラが来てエンジン全開って感じや!!アイドルリズムの手を振り下ろすダンス、印象的よな。OUTLANDのイントロはアガる!締めがベスト・シチュアシオンで、(この曲もしかして正せよ枠…?)と思ったw
去年は爛漫会でカワラ見たな…と思い出して少しエモくなった
0番線と夜明け前
(衣装、滅却師みあるな…)と思ってたら登場即ステージに倒れ込んで(クセ強!)となる。入滅へと、からスタート!
去年爛漫会を思い出す閃光&ブラックアウト未満!MCではマリノさんの通う皮膚科見えますという話。REMの転調するところの開放感良い…見る度に少しずつ好きになってまう…
AQ
風を編むから。野外に爽やかなサウンドが合う。レディでガラッと空気を変えてバキバキのパフォーマンス見せつける。そして何よりスカムの鬼気迫るパフォーマンス、マジで声が出ねぇ…ラストは水のないプール!25分でAQサウンドの魅力が詰まりまくりや…圧巻。
これで結成1年てホンマにエグすぎる!
爛漫ズ
爛漫ズは酒を調達して遠目に眺める。「カエルちゃんチーム」ってそばかすの歌詞か!となる。
らねカレーを買ってスパンコールもそのまま眺める。本当はちゃんと見たかったがさすがに体が持たん。
Ringwanderung
特典会行ってて火曜日とユートピア途中までは斜めの位置から眺める。最近はLily登板多いな!佐藤倫子の歌を聴け!!LVでバキバキに踊ってからササル!せっかくの野外だろ、と跳ぶ!!カケラで出し尽くすような魂のステージ、これがリンワンだ!
あと、イベント名は浪漫会じゃないよ!!
タイトル未定
この4人で歌い守ってきた青春群像からスタート。少し暗くなってきつつある中で群青、灯火としっとりさせる未定節はさすが。余白、この季節に聴くのにぴったりすぎるね…
鼓動のイントロ、萌加ちゃんがアナウンサーみたいな煽り!そして最高の鼓動でトリのきのホ。に繋ぐ!!
きのホ。(2回目)
トリはもちろんきのホ。だ!!入場SEからそのままエモ衛門!傾いてるは振りコピが楽しいね。
きのみきのままを見てたらなぜか涙が出てきた。あったけぇ…と思った。きのホ。が京都でアイドル頑張ってきてくれてありがとう、と思った。ほんでシンドロームでバチバチに見せつけてくるのたまんねぇな!
爛漫はエモかったが、圧巻すぎたのがラストの大問題。魂のパフォーマンス!!!こんなん見せられて心動かされへんやつおらんやろ…と思った。
躍動する身体、魂の絶唱、京都のアイドルとしての矜持がそこにあった。息をするのも忘れさせるようなステージ。とんでもないものを観た。。。ありがとう!!

2つのフェスの相違点・共通点
交通の便
この二つのフェスの最大の相違点はその「交通の便」だろう。安平フェスが札幌から1時間近く車で移動しなくてはいけない大自然の中にあるのに対し、爛漫会は京都の市街地ど真ん中、地下鉄駅直結という立地だった。
ただ、これは二つのフェスの違いである一方で、共通点だったという捉え方もできる。それはどちらも「その土地を象徴する場所」であるという事だ。
「北海道」という地名を聞いた時にどう思うだろうか。多くの人は雄大な自然、そしてその自然から生み出されるグルメを想像するのではないだろうか。安平フェスの会場は、そこに向かう道中も含めて大自然の雄大さを感じられる点で、”北海道感”が溢れるロケーションだった。
翻って「京都」という地名から想起されるものはやはりその歴史・伝統だろう。京都市役所という明治期の名建築*3の前で歌い踊るアイドル達を見ていると京都に帰ってきたな…という思いに浸ってしまった。
メンバーの出身地と「レペゼン○○」の意識
タイトル未定ときのホ。のメンバーという点でも違いがある。タイトル未定のメンバーは阿部葉菜さんを除き、全員が北海道出身である。その一方、きのホ。のメンバーに京都出身者はいない*4。
しかし、ここでも共通点として言えるのはその土地のアイドルである…HIP HOP風に言うと「レペゼン○○」という意識を持ってパフォーマンスしているという事である。タイトル未定は道外でライブをする時に、必ず「北海道からやってきました、タイトル未定です」と自己紹介するし、きのホ。も必ずライブのどこかで「京都のアイドル、きのホ。です!」と堂々と宣言する。
特に京都という土地は難しい土地である。よく「京都人は性格が悪い」という誹りを受けることがあるが、まぁ実際のところ性格悪いと思うし、排他的だと感じることもおおい。そんな中、京都市役所前という許可取りが難しそうな場所で二年連続でフェス開催に漕ぎつけたきのホ。は立派な”京都のアイドル”である。
ローカルアイドルが主催するフェスの意義
他地域のオタクによる観光効果
彼女たちが地元でアイドルフェスを開くことによって、出演するアイドルのオタクが全国から、その土地にやってくる。そして、せっかく来たのなら…とアイドルが紹介していた料理を食べたり、聖地を巡ったり、とその土地を旅する。
僕らのような地下アイドルオタクは毎週のように現場に訪れて思い出を作る。しかし、記憶に残るのは、ライブ本編だけではなく、意外とその前後の何でもない瞬間だったりする。

地元ファンへの恩返し
安平フェスを見て僕が感じたのは、東京のアイドル現場との客層の差である。タイトル未定が東京でライブをやる時に現場に多いのは所謂アイドルオタクである。
もちろん、安平フェスでもアイドルオタクが多くを占めていたが、年配の夫婦や家族連れなど、幅広い層のお客さんが訪れていた。そんな光景を見て、僕はタイトル未定が北海道で色んな人に愛されていることを感じた。
北海道で未定のファンになった人はアイドルに詳しくないことも多いだろう。そういう人達が素晴らしいアイドル達に触れる機会を作れるのは、地元密着のローカルアイドルならではだろう。安平フェスのMCで、乃愛ちゃんは北海道でも、アイドル文化が浸透してきていることの喜びを涙ながらに語った。
アビラフェスを開催した二年前よりも沢山の方が来てくださって北海道のアイドル文化がより浸透してるんだなと感じました。今日素敵な景色を見れて幸せでした。
総括
他にも僕は行っていないが、静岡ではfishbowlが関わる「しずおか大好きまつり」が開催され、プロデューサーのヤマモトショウ氏はこう語った。
静岡のほとんどの人が愛着を持って関わることができる”お祭り”で地元を盛り上げていくことにも意義はある
“アイドルフェス”ではなく“街のお祭り”。ヤマモトショウ&fishbowlによる「しずおか大好きまつり」に行ってきた | ガラスガール
このように、ローカルアイドルがその地元でイベントを打つことは、その土地のファンにとっても、他の土地に住むオタクにとっても特別な意義を持つものである。これはローカルアイドルならではの魅力だし、こういう取り組みが日本全国で拡大することで日本のアイドルシーンはより面白くなっていくのではないかと思う。
タイトルは「夏のオレンジ/タイトル未定」より