先日、RingwanderungのワンマンライブがKT Zepp Yokohamaで開催された。ちょうど1年前にも彼女たちは同じ会場でのワンマンライブ[OUT OF THE WORLD]を開催したが、今年のワンマンライブのタイトルは[NONFICTION]。この1年は彼女たちにとって、そのタイトルにふさわしい激動のものだった。
- リンワンの歩み
- みょんちゃん脱退
- ワンマンライブ[DIFFUSION]@EX THEATER ROPPONGI
- ワンマンライブ[NONFICTION]@KT Zepp Yokohama
- Ringwanderung第2章の始まり
リンワンの歩み
コロナが吹き荒れる2021年の夏頃、僕はリンワン現場に通い始めた。鍵盤ロックを主軸にしたハイクオリティーな楽曲と、そのパフォーマンス力の高さに興味を持ったのだ。あと、倫子さんの顔がめちゃタイプだった。そして何より、当時はコロナ禍で観客側は立ち位置を指定されたり、歓声があげられない状況だったにもかかわらず、1回1回のステージで魂を燃やしつくすようなその「熱」に僕はあてられた。
僕が見る限りではリンワンはその魅力をいかんなく発揮し、順調にグループとしての歩みを進めていった。途中でみょんちゃんが、「プロデューサーや関係者に対する不遜な態度」などを理由に活動休止することもあったが、ワンマンの会場で言うと、2021年11月渋谷クアトロ→2022年9月恵比寿リキッドルーム→2023年1月川崎クラブチッタ→2023年4月新宿BLAZE→2023年9月KT Zepp Yokohamaという風に着実に動員数を増やしていった印象がある。オタクの間でも、「界隈のネクストブレイクはリンワンかな」という感覚があった。
そんな風に順調に歩みを進めてきたリンワンに大きな転機が訪れたのは、今年の2月のことだった。
みょんちゃん脱退
今年の2月上旬、大阪で行われた対バンの現場に僕はいなかったが、みょんちゃんが体調不良で特典会やライブを途中で抜けた、という話がTwitterで回ってきた。ハードワークであるアイドルが体調不良でステージを抜けるのは割とある話なので、そこまでなら「お大事にね」くらいだ。しかし、特典会で泣いていたという不穏な情報や、みょんちゃんのTwitterのアカウントに鍵がかかっていたことなどもあり、(よくわからんが大丈夫なのか…)と、僕は心配した。
その翌日、リンワンは東京に戻ってきて、NUANCEとの対バン『ヌュとリンワン』を開催した。僕の好きな2組の対バン、当然行くだろと、僕は代官山UNITに足を運んだ。しかし、そこで僕が見たリンワンのステージは普段とは全く異なるものだった。
普段は誰よりも豊かな表現力で圧倒的なステージを見せるみょんちゃんが、虚ろな目をしており、完全に心ここにあらずという状態なのだ。ライブ終わりのSE「燃える火曜日」に合わせて歌う事もなく、その日はライブ後すぐにハケてしまった。
明らかに様子のおかしいみょんちゃんを見て、オタク友達と「こんな状態が悪いなら、一旦活動休止とかして静養させた方が良いんじゃないか」等と話していたが、僕はまだその時点では5人のリンワンが今後も見れると信じていた。
しかし、ヌュアンスとの対バンの数日後、事態はさらに悪化し、最悪の結末を迎えることになる。みょんちゃんがTwitterのアカウント自体を削除し、新宿で行われた対バンイベントを欠席したのだ。そして、その翌日、みょんちゃんがRingwanderungでの活動を終えることが発表された。

その3日後、リンワンは主催対バンを開催した。元々行く予定ではなかったのだが、いてもたってもいられず、僕は急遽代官山UNITへと足を運んだ。6日前、同じ箱で見た同じグループのステージ。そこからは大きなパーツが失われていた。「Last Summer Daydream」で落ちサビを歌う倫子さんの姿を見て、僕は涙した。その涙は、みょんちゃんがいなくなったことへの寂しさ?不本意な形でアイドル活動を終えた彼女への悲しさ?倫子さんの魂の歌唱に対する感動?それは今でもわからない。
ワンマンライブ[DIFFUSION]@EX THEATER ROPPONGI
みょんちゃんの脱退は、単なる1メンバーの脱退以上の意味を持っていた。そもそもリンワンはみょんちゃん+一般募集のメンバーを集めて結成されたグループであり、「リーダー」等の役職こそなかったものの、彼女がグループの中心的存在であることは明白だった。リンワン自体歌唱力の高いメンバーが集められたグループではあるが、音大出身のみょんちゃんの歌唱力はその中でも頭一つ抜けており、過去にはTV番組『THE カラオケ☆バトル』への出演経験があったり、TIFカラオケ大会でも堂々優勝する腕前の持ち主だった。
そしてそんな歌の上手さに胡坐をかかず、魂を燃やし尽くすような感情表現は、みょんちゃんの何よりの魅力だった。ライブ中に暑くなってジャケットを脱ぐのが定番となっていたが、氷点下の気温の中の札幌雪祭りでもそれは変わらなかった。
そんな大黒柱、みょんちゃんが脱退するというのはぶっちゃけグループ存続も危ういレベルの事件だったが、脱退2か月後のワンマンライブは予定通り開催される運びとなった。僕はEX THEATEE ROPPONGIへと足を運んだ。

この日のためにフォーメーションの変更があったり、沢山の苦労があっただろう。そして何より一緒にやってきたセンターが急遽脱退した中でメンタルも辛かっただろうが、残されたメンバー4人のパフォーマンスをそれを感じさせない素晴らしいものだった。特にみょんちゃん脱退以後、この日まで封印されてきた「Lily」が圧巻だった。僕の推しである倫子さんの八面六臂の大活躍に僕は感動した。
その反面、僕はいたるところでみょんちゃんが居なくなった傷を感じていた。メンバー4人のパフォーマンスは素晴らしく、ライブは十分に楽しかったのだけれど、みょんちゃんの存在はあまりに大きく、その去り方はあまりに唐突だった。
そして、そんなワンマンライブの最後に、9月にKT Zepp YOKOHAMAで再びワンマンライブが行われる旨の発表があった。
ワンマンライブ[NONFICTION]@KT Zepp Yokohama
横浜でのワンマンライブの1か月前には運営から新メンバー決定の報が告げられ、ワンマン1週間前にはメンバーの名前・ビジュアルと、本編終了後に登場する旨が発表された。
Ringwanderung 新メンバー加入のお知らせ
— Ringwanderung (@RWR__OFFICIAL) 2024年9月13日
篠田百音 - MOMONE SHINODA -@momone_rwr
2024年9月23日(月祝)
Ringwanderung [ NONFICTION ] KT Zepp Yokohama
本編終了後出演!!
Ringwanderung [ NONFICTION ]
日程:2024年9月23日(月祝)
会場:KT Zepp Yokohama
時間:OPEN 15:30 / START 16:30… pic.twitter.com/gcW8wRcIIN
当初予定されていたオーディション期間を延長してまで選びぬかれた新メンバー、僕は期待を胸に横浜へ向かった。番号を呼ばれ入場すると、ステージ中央に鎮座する階段が、両脇には沢山のライトが設置されている*1のが目に入った。

登場SEで姿を現さず、1曲目の「パルス」のイントロで階段上に4人が登場するという特別感のあるスタートでライブは幕を開けた。そして、「夜彩」、「ユレ↑ル↓ナ→」、「es」などの初期曲で会場を温めていく!
MC後、このライブの一つのハイライトが階段を利用して振り無しで披露された「Lily」だった。ただただ歌の力に圧倒された。
また、このライブでは、「リプリー」、「共謀者」という新曲も披露された。鍵盤が動く「リプリー」と、ブラスサウンドがオシャレな「共謀者」はいずれもリンワンの魅力を引き出す曲だ*2。「こっからハードモード!声出して!」という倫子さんの煽りから始まったのは「fall into sky」!*3ワンマンくらいでしか聞けない曲だ。そして「River」、「魔界X」、「Adam」、「ササル」、「カケラ」とハイテンポな楽曲を畳みかけ、ライブはラストに向けて加速していった。
そして、いよいよ本編最後の曲…4人が横一列に並び、陽凪ちゃんが口を開きゆっくりと噛みしめるように言った。
4人体制、応援してくれたあなたたち一人一人に本当に感謝しています。
その言葉は心から出たものだった。リンワンのメンバーはあまりステージ上で弱いところを見せないが、この激動の4人体制の期間、彼女たちにとって辛くなかったわけがないのだ。そして、「4人体制、最後の曲です」と言って「最愛」が披露された。僕は流れる涙を止められなかった。
息をするように 何もかもが君で埋め尽くされてく
-最愛/Ringwanderung-
アンコールで改めてSEと共に、階段上に新しい白衣装のメンバーが一人ずつ登場していく…最後に満を持して新メンバー、百音さんがその姿を現した。そして、新体制で「ハローハロー」、「Last Summer Daydream」、「La La」の3曲が披露された。百音さんも重要パートをしっかり担っており、堂々とそのパフォーマンス力を見せつけた。そうやって、横浜でのワンマンライブは大成功の中幕を閉じた。

Ringwanderung第2章の始まり
リンワンにあまり通ってないオタクの知人と話していてリンワンの話になると「みょんちゃん脱退しちゃったんだよね…」と言われることがある。僕は今まで「そうなんだよね…」としか返せなかった。しかし、僕は横浜のワンマンライブを見て、自信を持って言える。「そうなんだけど、今のリンワンは最高だよ」と。
Ringwanderungというグループ名にはこんな意味が込められている。
Ringwanderung(リングワンデルング)とは吹雪や濃霧などによる見通しの悪い場所で、人は方向感覚を失い同じところをぐるぐると回ってしまう。しかし登山などでは迷ったら山頂方向へ登るのが安全とされる。迷いながら上へ進むアイドルグループ。
みょんちゃんが脱退したことは悲しく、悔しい事だし、どうしたって美談にはできない。でも、僕は今、ぐるぐると迷いながら上へと進んでいく佐藤倫子を…新生リンワンの姿をもう少し見ていたい。そして、願わくばともに走っていきたい。

タイトルは「La La/Ringwanderung」より。