2020年9月6日、sora tob sakanaが解散した。仕事が忙しくてこんなタイミングになってしまったが、僕がオサカナを推した約4年間をただただ自己満足的に振り返ってみよう*1。
オサカナとの邂逅
僕がオサカナと出会ったのは2016年夏、アイドル横丁夏祭りのことだった。ゆるめるモ!目当てで見ていたステージの一つ前がオサカナだった…気がする。というのも、その時のことをほとんど覚えていないのだが、僕はそこからその年のTIFにかけて徐々に興味を持っていったようだ*2。
そして僕はTIF2016でいくつかのオサカナのステージを見て、名盤『sora tob sakana』を購入する。 僕はそのサウンドとノスタルジーなコンセプトに惹かれ、オサカナをちゃんと推し始めた*3。
sora tob sakanaは気になってたから見れてよかった。ほんと面白いサウンドだったな。アルバムまだ聞いてないけど、じっくり聴きたいね。しかしこれ推すとそろそろ「ロリコンじゃない」って強く言えなくなってくるな… #TIF2016
— かまやん (@kama_idol) 2016年8月8日
初めての接触
オサカナは僕から初握手と初チェキという、2つの初体験を奪ったグループだ。僕はそもそも全く「接触」しないオタクだった*4。レギュレーションが全然わからないし、ソロ参戦だと接触しようと思い立つきっかけが無いのだ。また、接触沼にハマってしまうとお金を際限なく溶かしてしまうのではないかという懸念もあった。
そんなわけで、3年以上接触無しでアイドルオタクをやってきた僕だったが、2016年の@JAM EXPOでオサカナのタオルを購入すると、なんと全握の特典券が付いてきてしまった。そして、オサカナ特典会はちょうど空き時間…これは神が僕に「接触せよ」と言っている、そう感じた僕は文字通り握手に手を出すこととした。なっちゃんが「あー!新しいタオル買ってくれたんだ!ありがとう!」とテンション高く言ってくれた記憶がある。メンバーの手はものすごく小さく、こんな小娘達に俺は感動させられてるんだなぁ、としみじみと実感した。
遂に握手会に手を出してしまった…ひょんなことから手に入れた握手券、ステージとステージの間の空いた時間…気づけばおれは中高生の女の子と握手をしていた。。。 #at_jam #soratobsakana
— かまやん (@kama_idol) 2016年9月24日
また、初チェキを捧げたのもオサカナだった。タワレコ新宿で行われた『cocoon EP』のリリイベでふぅちゃんとチェキを撮ったのが僕の人生初チェキだ。会話はまるで覚えていない。緊張していたのだろう。
オサカナの躍進
2016年はオサカナが名盤『sora tob sakana』の発売と楽曲大賞の上位独占という快挙を成し遂げ、オサカナが「見つかった」年だった。それに続く2017年、オサカナは大幅な躍進を続けた。
僕が特にそれを感じたのは2017年恵比寿リキッドルームで行われたワンマンライブだった。バンドセットということもあり、チケットはSold out。パンパンのリキッドルームに生演奏で海に纏わる言葉が流れ始めた時の鳥肌が立つ感覚は今でも覚えている。
難解な楽曲を難なく演奏するバンドサウンドに乗せて、時に可愛く、時に美しく、時に快活にステージ上を跳ね回るメンバーが作り出したあのライブはオタク人生でも最も印象深い体験の一つだ。
オサカナ単独公演、まさに、ここからオサカナの伝説が始まるのだ!と言うような最高のライブだった。#オサカナ#soratobsakana
— かまやん (@kama_idol) 2017年4月30日
またこの年のTIFで行われたオサカナ×フィロのスのコラボ「踊るオサカナ」で僕はフィロのスを発見する。純粋な歌唱力の面でオサカナはフィロのスに到底及ばないのだが、オサカナのパフォーマンスは年々進化しており、両者の魅力が引き出された最高のコラボだった。特にアコースティックのクラウチングスタート!激エモだ。
おどるオサカナ(sora tob sakana x フィロソフィーのダンス)「クラウチングスタート」
2018年頭には今をときめくKing Gnuなんかも参加していたオサカナ主催イベント「天体の音楽会」が開催された*5。オサカナのパフォーマンスはホールでも通用すると確信したステージだった。そしてこの場でワーナーからのメジャーデビューが発表される。
メジャーへ踏み出したオサカナ
満を持してメジャーデビューしたオサカナが発売したのが捨て曲なしの名盤『alight EP』だ。そしてNew Strangerではアニメ『ハイスコアガール』とのタイアップ。
4周年ライブが行われたのは国際フォーラムだった。少女らしさは残すものの、パフォーマンスはどんどん向上し、豪華な演出も相まって"メジャー感"が感じられた。
idol-consideration.hatenablog.com
オサカナは順風満帆に進んでいたはずだった。
玲ちゃん卒業
ここまで順風満帆に進んできたオサカナだったが、2019年には大きな転機が訪れる。玲ちゃんの卒業だ。
idol-consideration.hatenablog.com
しかし、ブログでも書いたように、僕はこの時点で全く不安を覚えてはいなかった。3人は全く辛そうな様子を見せなかったし、TIFではamiinAとオサカナにより最高のコラボが行われ、オサカナの勢いが削がれる様子はなかったからだ。
コロナ禍と解散発表
そして今年2020年だ。2月末からのコロナ禍が続き、ライブは大幅に減った。オサカナの解散が発表されたのは5月下旬、まだまだライブの開催等は制限されている状況だった。
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僕はオサカナのライブを目に焼き付けるために、定期公演やラストツアーの地方公演等たくさんの配信ライブを見た。また、可能な限りリアルなライブにも参加するようにした。
やはり印象に残っているのは7月末に行われたオサカナとamiinAのツーマンだ。amiinAメンバーからオサカナに対して書かれた手紙は涙を禁じ得なかった。オジサンはこういうのに弱いのである。
明日遂にラストすね。
— 齊藤州一 (@amiina_producer) 2020年9月5日
似た時期、タイミングで生まれて、切磋琢磨できて、刺激的で、すごく楽しかったです。
青い炎と赤い炎って感じでした。
そしてなによりami,miyuとずっと仲良くしてくれてありがとう。
一緒にバカバカしい話をして、けたけた笑っていられるグループはそうはいないよ。#オサカナ pic.twitter.com/4mpigs7uhD
また、幸いにもラストツアーの東京公演にも参加できた。World Fragmentの「空を飛ぶ魚になって境界を越えていくよ」という歌詞が刺さった。そして、僕にとってはこれが最後の生のオサカナの姿だった。
解散ライブ
全ての抽選に外れ、チケトレでのチケット争奪戦にも敗れた僕は浦和美園のイオンシネマのLVにてオサカナ解散ライブを見ることになった。こんなタイミングなので、詳細なライブレポはナタリーさんその他色んな方に委ねることにして、自分の印象に残っているところをメインに振り返ってみる。
このライブは5時間近い時間であり、約二時間ずつ前半・後半に分ける形でオサカナの全ての楽曲*6がパフォーマンスされた。
まず前半はWhale songと大名曲ribbonでライブはスタートした。紗幕の向こうで踊るオサカナメンバーは幻想的だ。2曲目はアンセム、夜空を全部。紗幕が落ちる演出は痺れる!鋭角な日常で火花が出る演出や魔法の言葉のダンスバージョンにアレンジされたイントロなどもカッコよかった。
基本的に湿っぽさは全然なく、単にクオリティの高い楽しいライブを見せてもらったという印象だ。だが、前編最後の夜間飛行は僕が最も好きなオサカナ楽曲の一つであり、これが最後の夜間飛行か、と思うと急に涙が込み上げてきた。
後編は、海に纏わる言葉で始まる。そして、、、最も好きな曲、クラウチングスタートだ。泣いちゃう。また、後半のハイライトの一つはアコースティック・パートだろう。帰り道のワンダーのような元気あふれる楽曲もアコースティックでは違った表情を見せる。ライブ終盤、Lighthouseでは、普段は一人でいう「1,2,3,4」というセリフを全員で元気に叫ぶ姿が尊い。
メンバー最後の挨拶は、これまでと何ら変わらない、笑いあり涙無しのものだった。こういうMCを聞くのも最後だ。そして、最後に演奏されたのは、初パフォーマンスとなるuntie。最低限の音に3人の声が重なっていく。そして、最後に映し出された3人の表情を見て、僕は本当にオサカナが終わってしまうことを理解してしまった。笑顔の愛ちゃん、はにかんだような表情のなっちゃん、ふざけてしかめ面をするふぅちゃん。そんな3人を大量のスモークと照井さんの轟音のギターが包み込み…オサカナは去った。
あなたたちの最新の写真です
— Izaya (@Orange_Slumbers) 2020年9月6日
その後、雲はあなたたちを永遠に運び去った
永遠に
さようなら 。#オサカナ pic.twitter.com/gwzzFgbIwu
オサカナという存在
OTOTOYの記事の中に、オサカナを象徴するようなエピソードが掲載されていた。
『deep blue』のジャケット撮影の際、彼女たちに海まで歩いてもらう指示をすると、予想よりもどんどん海へ向かって行ってしまって。
カメラマンの笹原さんをはじめ、今までずっと一緒にやってきたスタッフチームのみんなで、「ああ、みんな行っちゃうね、終わっちゃうね」なんて言って勝手にエモーショナルな気持ちになってしまって。
そんな話しをしている間に、あまりにも遠くに行ってしまうので呼び戻すと、私たちのエモーショナルとは裏腹に、本人たちはぎゃあぎゃあ笑い合いながら楽しそうに戻ってくる。
そんな彼女たちの、朗らかで飄々としたところが大好きでした。
サカナはどんなソラをとぶ──9月6日解散のsora tob sakana、チーム・オサカナからのメッセージ - OTOTOY
オサカナとの思い出はこういったものが多い。僕らオタクが勝手にエモくなっていても、メンバー自身は常に飄々としているのだ。フィロのスとのラスト2マンでも、「終りって言ってもすぐに会えますよ」と言ってふざけるオサカナに対して、ハルちゃんが「あなた達は尊い存在なの!」とキレていたのが印象的だった。
そういった飄々とした一面とは裏腹にクオリティの高い楽曲に負けないよう、彼女たちはパフォーマンスを向上させ続けてきた。1stアルバムsora tob sakanaとラストアルバムdeep blueを聴き比べるとその差は歴然としたものだ。だからこそ僕は楽しくオタクができた。オサカナは特異な存在だった。
照井さんはdeep blue -Instrumental-に次のようなコメントを寄せた。
このインストバージョンを聴いた時、彼女たちが過ごした世界にいつでも戻ってこれるのは、彼女たちがsora tob sakanaとして生きた時間を短い間だとしても共有してくださった皆さんだけなのかもしれないと思いました。
きっと僕はオサカナを聞く度に、この4年間の色んなステージや特典会を思い出すのだろう。僕はそれをとても嬉しく思う。オサカナを知って、推せたことを誇りに思う。
ありがとうオサカナ。そしてさようなら。
タイトルは「untie/sora tob sakana」より