前回↓に引き続き、フィロのスの今後について考えてみよう。
idol-consideration.hatenablog.com
考察:フィロソフィーのダンスはキャズムを越えられるか?
フィロのスの強みと、それが刺さるターゲット、顧客体験向上の鍵を考えてみよう。
フィロのスの強み
フィロのスの強みとして真っ先に挙げられるものはやはり「良質な楽曲」だろう。宮野弦士とヤマモトショウのコンビによる珠玉の楽曲はアイドル界でもトップクラスのクオリティを誇っており、アイドル楽曲大賞上位の常連となっている。
もうちょっと具体的にしよう。そんな楽曲のコンセプトは、「ファンク・ミュージック」と「哲学的な歌詞」だ。ただ、世の中にファンクミュージックが好きな人は多いが、哲学が好きな人はそんなに多くないだろう・・・なので、「良質なファンク・ミュージック」が強みだと言えそうだ。
フィロソフィーのダンス/ ダンス・ファウンダー(リ・ボーカル&シングル・ミックス)
次に強みとしてあげられるのが「ライブパフォーマンス」だ。日向ハルは元まねきケチャ藤川千愛や、predia湊あかね等も出演したテレビ東京の「THE カラオケバトル」に出演しており、歌唱力はアイドル業界トップクラスだ。奥津マリリも高い歌唱力を持っており、鼻にかかるような特徴的な声が魅力的だ。この二人を主軸に、飛び道具アニメボイス十束おとはがスパイスを加え、王道のアイドル的な声の佐藤まりあが支えるという、4人の声の組み合わせは非常に気持ちがいい。また、そこに生バンドによる演奏が加わると更なるグルーヴが生み出される。しかも、バンドマスターは大半の楽曲の作曲・編曲を手掛ける宮野弦士なので安心感もある。
音楽にこだわる一方で、パフォーマンスの方向性としてはスタンダードなアイドルの枠を出ない。あとは、ファンクミュージックの音楽性から、「踊れる」ことが特徴と言えるだろう*1。
こういうことから考えて、フィロのスの強みは「グルーヴ感のあるライブパフォーマンス」と定義してみよう*2。
フィロソフィーのダンス/ライブ・ライフ、ライブ・アット・品川ステラボール
ターゲット
次に「良質なファンク・ミュージック」と、「グルーヴ感のあるライブパフォーマンス」が刺さるターゲットについて考えてみよう。
ファンク自体、日本の音楽市場で主流のサウンドではないし、EDM等の縦ノリミュージックが流行している現在において、横ノリのファンクミュージックを好んで聞くのはそこそこ音楽が好きな人達ではないだろうか。ここからは完全に僕のイメージなのだが、音楽好き達は今はSpotifyに代表されるサブスクリプションサービスに流れている印象がある。特典券が欲しいアイドルオタク以外の音楽好きにとって、サブスクのメリットは非常に大きい*3。というわけで、ターゲットを「サブスクリプションサービスに登録している人」と定義づけてみよう。
もう一つの強みである、「ライブパフォーマンス」が刺さるのは誰か。こればっかりは正直読めない。。。ただ、前提としてあるのはそもそもライブパフォーマンスの魅力はライブに来ないとわからない、ということだ。とするとターゲットは「ある程度(アーティストの種類を問わず)ライブに行く習慣がある人」と考えられるのではないか*4。
この2種類のターゲットをもう少し類型化してみると、「サブスクに登録する在宅派音楽好き」と「ライブによく行く現場派音楽好き」と言えそうだ。
ターゲットの顧客体験
顧客体験を向上させるためには、コンテンツへ入ってくる事とリピーターとなってもらう事の2点が重要なポイントになる*5。
最終的には在宅でも聞くし、現場にも行くエンゲージメントの高いファンを獲得することが大事なので、上記2パターンのターゲットを別の人間だと考えてしまうのはミスリードだが、行動としては類型化することに意味がある。
「サブスクに登録する在宅派音楽好き」について。コンテンツへの導入で一番わかりやすいのはやはりプレイリストだろう。ここはデジタルマーケティングを頑張るしかないのではないか。ただ…如何せん、僕がサブスクやっていないのでここのイメージがわかない笑。バズマーケティングとかが有効なのかな・・・?
そして、この層にリピーターになってもらうには、在宅オタク心をくすぐる情報を与え続けることが重要になるのではないか。具体的には宮野君のリファレンスしている音楽や加茂さんプロデュースワークを集めてプレイリストを提供したり、絡みのあるバンドと対談記事をアップするなどだ。要は、「フィロのス」単一のファンになってもらうのではなく、裏方まで含めて「フィロのスサウンド」のファンになってもらうということだ。
次に、「ライブによく行く現場派音楽好き」について。導入については、シンプルにリーチする人間の数を増やすことでが大事と考える。なので、加茂さんが音楽業界で作ったコネを最大限活用して、対バンするバンドの幅・数を広げていくべきだ。そして、一定程度そこのファン層を増やしたうえで、アイドルフェス以外のフェスへの出演機会を増やすことでアイドルファン以外から見つかっていくのが良いと思う。
そして、リピーターになってもらうには、シンプルに楽しいライブをするということに尽きるだろう。ライブを楽しませるためには、メンバーが一番大事なのは間違いないが、楽しいライブを妨げないオペレーションや治安など、運営サイドにも沢山の留意点がある。
推測:実際のフィロソフィーのダンス運営の戦略はどのようなものか?
さて、ここまで僕なりのフィロのスが取るべき戦略について述べてきたが、フィロのス運営は実際にはどのように動いているのだろうか?
「ライブによく行く現場派音楽好き」へのアピール
こちらはかなり積極的に取り組まれている印象だ。
フィロのスは現在「Singularity」という企画などで、様々なバンドとの対バンを行っている。具体的にはBRADIO、スクービードゥ、ONIGAWARA、ハバナイ、ノーナ・リーヴス等だ。
また、つい先日、ボロフェスタへの出演が発表された。アイドルとしては唯一?かな。このエントリを書いている最中に、りんご音楽祭への出演も発表された。アイドルフェス以外のフェスへ積極的に出演することで、アイドルファン以外の層にリーチしていることが見てとれる。
「サブスクに登録している在宅派音楽好き」へのアピール
現在、フィロソフィーのダンスは6か月連続Remix曲配信を行っている最中だ。配信限定にしていることから、これはアイドルファンではない音楽好きへ訴求しようとしているのだろう。出される楽曲は面白いし、メンバーへの負担もかからないため良い戦略だろう。
一方、サブスクでの取組について。現在フィロのㇲ楽曲はサブスク上でだいたい聞けるらしいが、それ以上の手は打てているのだろうか?Spotifyのバイラルチャートで1位を取れたり、サブスクとの親和性は証明されているので、もっと積極的な手を打っていってもいいのではないだろうか*6。
正直、フィロソフィーのダンス運営はデジタルマーケティングに弱い気がする。つい最近まで公式HPが破損していて閲覧できない事をおとはすが怒っていたくらいだ。ここを強化することで、アイドルファン以外の音楽好きにリーチできる余地はあると考える。
公式HPしばらく見れなくなってるよね、本当にすみません!
— 十束おとは🎮フィロソフィーのダンス (@ttk_philosophy) 2019年1月16日
私はこういうのなあなあにできなくて黙ってられないタイプなので、早急にどうにかしたいしこれに限らず色々ちゃんとしていきたいんですよ〜、みんなが不安に思うことなく楽しく応援してほしいのです〜〜!
まとめ
2回に分けて長々と書いてきたが、ものすごくざっくりまとめるとこんな感じだ
- 地上で売れるためには、アイドルファン以外へのアピールが大事
- 具体的には、「サブスクやってる在宅派音楽好き」と「ライブによく行く現場派音楽好き」をわけて狙うのがいい
- 後者へのリーチはできている
- 前者に対してもっと良いアプローチできないだろうか
この戦略をとる場合、今後、リリイベが減ったりアイドルフェスへの出演が減ったりしてしまい、アイドルオタクたる僕個人としては寂しいところがある。が、オタクたるもの、一番にアイドルの幸せを願っているので、そこは甘受した上でこれからもついていきたいと思う。
つまり、武道館とかを埋めるフィロのスが見たいんだよ、俺は!