とあるKSDDのアイドル考察録

アイドルオタク9年目のKSDDがアイドルに関して色々考えてみます

物語はまだ序盤だから ~tipToe.第1期終了に寄せて~

 

先日、tipToe.の現体制終了ライブ『standing on tipToe.』が行われた。

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唯一残留した日野あみちゃんに新メンバーが加わるまでは一時活動休止という事だ。また、この日を以て僕の推しである三原海ちゃんも卒業した。この機にtipToe.と海ちゃんに対する自分の思いをつづっておこう。以前書いたエントリはこちら↓

idol-consideration.hatenablog.com

 

 

 

 

tipToe.との出会い

僕がtipToe.を最初に聞いたのは、今から大体1年前、YouTubeで見たblue moon.のMVだった。2018年のアイドル楽曲大賞で8位を取ったことから興味をもったのだ。ドビュッシー月の光から始まる印象的なイントロ。繰り返されるサビの美しい旋律に惹かれた。

月がきれいすぎるから 僕らはプールに飛び込んで
ダンスを踊った ダンスを踊った

とはいえ、このタイミングでどっぷりハマったわけではなく、「こういう世界観いい感じやん、どっかで見に行こうかな」と思った程度だった。


tipToe. - blue moon. Music Video

 

僕にとっての転機は2019年の3月末、ある日の*1タワーレコード錦糸町で訪れた。試聴コーナーに、tipToe.のLIVE EP『Our blue moment』が置いてあったのだ。店員が書いたポップには「M4.夢日和 泣けます!」と書いてあった。時間も余っていた僕は何の気なしにそれを手に取り聞いた。

本当に泣きそうになった。

メンバーの名前も顔も、何人組かも知らない。曲だってblue moon.しか知らなかった。でもライブ版の夢日和で「ラララ~」と歌う彼女達とそれに呼応するように打たれる倍速MIXを聞いて、なぜか涙が出そうになった。思えば、その瞬間に僕らがもう経験することのできない「青春」の匂いを感じていたのだろう。

そして僕はその場で『Our blue moment』を購入した。

 

初現場と初チェキ

そういうわけで現場に行く機会をうかがっていた僕がtipToe.初現場として選んだのは、amiinAの春休み明けのツーマン『Gypsophia and Avalonだった*2

この日の箱は楽曲派にはおなじみ青山月見ル君思フだ*3。月をバックに歌い踊るtipToe.のパフォーマンスは期待を裏切らないものだったし、現場の雰囲気も心地よいものだった。

その後もう一度別の現場をはさみ、初チェキはDaydreamのリリイベで海ちゃんにささげることとした*4。海ちゃんを選んだ理由はそんなに深いものではない。僕は離れ目の子が好きだ。

そして僕はTIFのスカイステージ、ギュウ農フェス、バンドセットのワンマンなどいくつもの 印象的なステージを目撃する。

idol-consideration.hatenablog.com

 

standing on tipToe.

そしてついに1月11日が訪れた。この日のライブ「standing on tipToe.」@Zepp Diversityを以て、6人中5人が卒業して現体制が終了する。自分の印象に残った部分を振り返ってみよう。詳細なレポートはこちら↓。

taishu.jp

開演前

ロビーには、歴代衣装やオタクからのスタフラが飾られており、「いよいよ最後なんだな…」という特別感を掻き立てる。

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ステージのセットは、体育館を彷彿とさせる深紅の幕と金色の綱。それに、図書室のような本棚と窓でtipToe.のイメージを表現している。広い会場を活かして花道とセンターステージもあって豪華な感じ。開演時間の少し前にはスクリーンにメンバーのインタビュー映像が映し出された*5

前半

開演のSEから始まったのは、特別じゃない私の物語。ここからすべては始まった、と言えるtipToe.を象徴する曲だ。予想していた曲だったが、この曲から始まるのはやはり感慨深い。


tipToe. - 特別じゃない私の物語 Music Video

続いて、ビギナーひとりごとないしょとーく、をシームレスにパフォーマンスし、いかにもアイドルらしい楽曲群で可愛さとポップさを見せる。

短い自己紹介をはさんだ後はクリームソーダのゆううつソーダフロート気分で少しスローテンポに。ここでは背景の美しいVJが目を引いた。そこから一転、Cider Aquariumでスピードアップ!そこから僕たちは息をするで畳みかけるように勢いをつける。ここのつなぎが本当にかっこよくて、ゾクゾクする*6

かすみ草の花束をのサビ前では海ちゃんが楽しそうに指揮をする振り付けがあるが、これも見納めだ。しかし、本当に楽しそうにパフォーマンスするので、こっちも悲しい気持ちにはならない。このライブ全編を通じて、悲しい雰囲気はまるでなかった。


tipToe. - かすみ草の花束を Music Video

ここで、tipToe.の3年間を振り返るようなムービーが挟まる。夢日和が始まった瞬間リフトが上がる映像では会場内に笑いが起こる。こういう振り返り演出はベタなものだがベタなものにはそれだけの理由がある…推し始めて1年もたってない僕でさえしみじみしてしまうのだから、古参オタの感慨もひとしおだっただろう。

後半

後半はThe Curtain Rises前のSEからスタート。このSEを聞くと体がカっと熱を持つ感覚になる。なだれ込むようにThe Curtain RisesSilent Signと、熱いロックナンバーを披露する。


tipToe. - The Curtain Rises Music Video

MCでは衣装の説明。これまでの衣装を白色にリメイクしたものを一人づつ着用していると解説。ものによってスカートの広がり方が違うので、あみちゃんなんかは「エア裾」を持ってのダンスだったということ。

オレンジのライトから名曲、が披露される*7。「あと何回、君に会えるんだろう」という歌詞が心に来る。そこから披露されたのは、初めて聞くつみちゃんソロ曲!つみちゃんはソロシンガーとしてもやっていけそうな雰囲気がある*8


tipToe. - 茜 Music Video

僕らの青を激しくパフォーマンスした後、海ちゃんが一人でセンターステージに。始まったのはポエトリーリーディングはやく夜が明けておはよう、が言いたい。全身を使って、エモーショナルに表現する。ここまで激しくやるのは初めて見た。そして始まるのは、blue moon.だ…エモすぎる!緊張感に溢れたこの曲の最中は、本当に息を止めているような感覚に陥ってしまう。

グッズ紹介のMCを挟んで、最後の盛り上がりゾーンに。夏祭りの待ち合わせ長い坂の途中ででステージのボルテージを上げる。メンバーが煽りまくった後、本編最後に披露されたのはtipToe.最大の沸き曲、星降る夜、君とダンスを。オタク達もそれに応えるようにフロアでブチあがった。

アンコール

アンコール1曲目はハートビート。続いて披露されたのは、特別じゃない私たちの物語。曲の途中のブレイクで、全員が肉声で「ありがとうございましたー!」と叫ぶ。この演出はさすがに泣いちゃう。

止まないダブルアンコールの声*9に応えて、再度メンバーがステージに登場。ここで一人ずつ、挨拶の時間を取る。じゃんけんで話す順序を決めるというユルい感じで、メンバーの挨拶。

あみちゃんは、グループじゃなくなっても友達だよ、とメンバーへの感謝を伝えた。つみちゃんは、泣かないと言っていたがすぐに涙声に。自分たちはその辺にいる子で、皆さんのおかげでこんなステージに立って「青春」をさせてもらった、と。寧々ちゃんは、「出会ってしまえばこっちのもんだ ふいに悲しくなってもそれでも」という歌詞を引用し、出会いへの感謝を述べる*10

ゆゆかちゃんは、自分が悩んだ時につみちゃんに相談に乗ってもらった話を。真叶ちゃんは数日間泣いたりしたのに今日は楽しすぎて泣く暇がない、という感想を。海ちゃんは、こんなアイドル向きじゃない性格だから心配かけたけど、そんな自分をアイドルにしてくれたのは皆だ、と感謝を述べた。

そして、「まだあの曲をやっていませんよねー!?」というつみちゃんの煽りから、本当の最後に披露されたのが夢日和だ。何を書いても陳腐になってしまうが、本当に幸せな時間だった。

ラストチェキ

最後のチェキでは海ちゃんに「アイドルになってくれてありがとう」という事を伝えた。接触時間が短そうだったので、それだけ言えればいいと思っていたのだが、逆に少し時間が余ってしまって、「アッ……明日の引っ越し頑張ります」とかいうクソどうでもいい自分の話をして終わってしまった。最後まで僕はアイドルと会話するのが下手だ。

 

SE
M1.特別じゃない私の物語
M2.ビギナー
M3.ひとりごと
M4.ないしょとーく
M5.ハッピーフレーバー
MC
M6.秘密
M7.クリームソーダのゆううつ
M8.ソーダフロート気分~~
M9.Cider Aquarium
M10.僕たちは息をする
M11.かすみ草の花束を
映像(振り返り)
SE
M12.The Curtain Rises
M13.Silent Sign
M14.Letter
MC
M15.茜
M16.約束(花咲なつみソロ)
M17.アフターグロウ
M18.僕らの青
M19.はやく夜が明けておはよう、が言いたい。
M20.blue moon.
M21.砂糖の夜に
M22.ナイトウォーク
MC
M23.夏祭りの待ち合わせ
M24.長い坂の途中で
M25.星降る夜、君とダンスを

En1.ハートビート
MC
En2.特別じゃない私たちの物語

MC
D-En.夢日和

 

特別じゃない彼女たちの物語

彼女たちは自分達は特別な存在ではなかった、と語る。

花咲「私は普通の人間だし、恐いので、普通の生き方しかできないんですよ。」
椋本「プロデューサーの本間さんと個人面談みたいな感じで話したんだけど、そのときも個性が無さ過ぎてどうしたらいいかわからないって相談したくらいなんです」
出所:『tipToe. 1st Season Official Guidebook』

彼女達は歌ウマアイドルと言えるほどの歌唱力はなかったし、卓越したスキルがあったわけでもなかった。ルックスも悪くはないが、圧倒的美少女!とは言えなかった。確かに彼女達は「特別」ではなかった。しかし、そんな彼女たちだからこそ、リアルな青春を描き出すことができたのではないだろうか。

「青春」とは何だろうか。一般的に「青春」と呼ばれる学生時代のことを思い出した時に頭に浮かぶのは、くだらなくて日常に近い出来事・・・駅前のマクドナルドで何時間もダベったこと。徹夜で麻雀して負けた奴がやたら不機嫌になったこと、テスト前の自習室でくだらないことで爆笑して睨まれたこと。そんなどうでもいい場面だ。翻って、tipToe.ではつみちゃんやゆゆかちゃんは「メンバーとの思い出は何か?」という質問に「人狼」というワードで答えた。 

「特別じゃない」彼女たちが日常の中で青春を謳歌し、 それをオタクが追体験する、tipToe.はそんなグループだった。

みんなで青春しませんか?

 

彼女たちの今後

最後に歌われた代表曲、夢日和で彼女たちはこう歌っている。

あたし夢を見たっていいかもね? 物語はまだ序盤だから
本気になれば切り開ける! ・・・・・・ような、そんな気がした

元々この歌詞は、これから始まるtipToe.の活動を歌ったものだろう。しかし今の僕には、3年間の活動を経て少し強くなった少女たちが、希望に満ちたこれからの人生に向かう軽やかな決意表明のように聞こえた。

 

tipToe.、そして三原海ちゃん今までありがとう。

短い間だったけれど楽しい日々でした。

またいつの日か。


tipToe. - 夢日和 Music Video

 

タイトルは「夢日和/tipToe.」より

*1:確かフィロのスの「エクセルシオール」リリイベがあったのだ

*2:多分これはtipToe.出てなかったとしても見に行ってたと思うが

*3:大きな月がセットにある、青山のライブハウス。GoogleのCMに使われたこともある

*4:何をしゃべったかはあまり覚えていない

*5:音と映像がズレまくっていた。あみちゃんが「早いようで短かったです」と言ってて「一緒やないかい!」と思った。

*6:Our blue momentにも収録されている

*7:だんだんと、オレンジのライトが強くなっていき、照明を経由した「巻け!」という圧力を感じたw

*8:就職しちゃうんだよなぁ。どういう会社なんだろう

*9:といっても、夢日和をやっていない時点でダブアンあるのは確定なんだけど

*10:HASAMI groupというグループのようだ