今朝、ZOCメンバーの兎凪さやかさんのグループ脱退が発表された。
【ZOCメンバー兎凪さやかについてご報告】 pic.twitter.com/dMc2bauFQR
— ZOC (@ZOC_ZOC_ZOC) 2019年12月23日
理由はいたってシンプルで「未成年飲酒・喫煙」である。
もちろん未成年飲酒・喫煙自体は法律違反だが、「グループ脱退が処分として妥当なもものか?」ということについてはTwitter上で賛否の声が見られた。
彼女がアイドルという特殊な職業であることを踏まえて、アイドルオタクの目線から本件について考えてみたい*1。
賛否の声
「グループ脱退は妥当」派の意見
tweetを眺めていると、以下の4つが「妥当」とする根拠に挙げられていそうだ。
- 未成年飲酒・喫煙は明らかな法律違反のため、軽視すべきではない
- 特にアイドル(=有名人)という立場にあるものは、世間への影響力が一般人より大きいため、コンプライアンス違反には厳正に対処すべき
- ZOCには少年院あがりで現在は更生したメンバーがおり、それを裏切るような行為であり、看過できない
- 合コンっぽいこともしてるなんて、ガチ恋として許せない!
「グループ脱退はやりすぎ」派の意見
こちらも理由は4つくらいに集約されそうだ。
- 未成年飲酒・喫煙は多くの人が犯している法律違反であり、騒ぎ立てるようなものではない
- 有名人というだけで飲酒・喫煙に対して殊更に厳しい処分が下されるのは、公平ではない
- ZOCの中に喫煙者がいたりするためイメージと大きく乖離するものではないし、1度の過ちでクビを切るのは「孤独を孤立させない」コンセプトに反している
- ま○きケチャは堂々とアイドル続けてるじゃん!
論点
ZOCオタも非オタも、結構意見が割れているようだ。どこが主要論点なのだろうか?僕は大きく3つの論点が階層構造になっていると思った。
論点①:未成年者飲酒・喫煙は職業にかかわらず、許されないのか?
上記意見の1に該当するところだ。ここは多くの人が許容してるんじゃないだろうか?酒の強要とかは当然NGだが、19歳の子が自分から酒飲んだくらいで、厳罰だ!とまで言う人は少数ではないか。これもダメだ、と思う方はそっと閉じていただきたい。この後が本題なので…
論点②:有名人の未成年者飲酒・喫煙は許されないか?
上記意見の2に該当するところ。有名人の未成年者喫煙と言えば、僕の世代なら真っ先に加護ちゃんのことを思い出すなぁ。
それはさておき、本人のキャラクターやイメージに関わらず、有名人たるもの一般人と異なり、社会への影響を考えて、未成年飲酒・喫煙に対して厳しく処罰されるべきか否か。ここが1つの大きな論点だ。
社会への影響という点では、彼女が飲酒・喫煙をすることでそれが未成年に悪影響を与えるか、というのが判断基準になるだろう。
論点③:ZOCメンバーに未成年者飲酒・喫煙は許されないか?
上記意見の3に該当するところ。本件が盛り上がっているのはこの論点だ。ここが興味深くて、ファンの中でもZOCだから許容だと言っている人と、ZOCだからこそ駄目だ、と言っている人で二分されている。
退廃したアウトローな雰囲気の中で懸命に生きる姿がZOCの魅力の一つだ、というのは自明だ*2。「family name」で「クッソ生きてやる」と叫ぶメンバーたちのインパクトは強い。
オタクがZOCに対して、どのような「アウトローさ」を期待しているのかで意見が分かれるところだろう(マジの法律違反なのか、反体制の精神なのか)。
おまけ論点:ま○きケチャメンバーに未成年者飲酒・喫煙は許されないか?
いい加減にしろ!酒を提供しているような場所に行っただけでアルコールは口にしていないし、IQOSに見えたのもただのモバイルバッテリーだって言ってるだろ!
ekomsの対応
ekomsもといサクライケンタ氏の判断について、「事実を認めた」という点で僕は極めて誠実だなぁ、と感じた*3。法律違反とは言え裁判になるわけないのだから、どこかの運営みたいに「酒を口にした事実はなかった」と突っぱねることもできただろう。そして人は忘れる生き物だ。日々楽しい(?)事件が起こり続けるアイドル業界、未成年飲酒・喫煙程度のニュースは放っておけば時間はかかってもいずれ沈静化したと思う。
にもかかわらず、今回運営は「事実を認めて」、脱退を選んだ。そういった点で誠実な対応だと感じた*4。
僕の意見
ここまで一応どっちの立場にも立たないように書いてきたつもりだが、最後に僕の意見を書いておこう。僕の意見は「脱退はやりすぎ」だ。
理由はシンプルで、「誰も傷つけていないルール違反にそこまで不寛容になるべきではない」というのが僕のスタンスだ。酒・タバコくらい一般人でも有名人でもZOCでも清純派アイドルでも、別に構わないと思っている。 別に兎凪さんが酒を飲んでも飲まなくても、飲む奴は飲むし飲まない奴は飲まないさ。
兎凪さんも後に選ばれた講談社の「ミスiD」の審査において、既婚者が規約違反でエントリーした時のことについて、小林司氏はこう語った。
人によって変えていこうってことだけなんです。ルールを人よりも後ろにしているというか、あくまで人を優先させようと。そもそも「抜け道」って大事で、それがない世界って閉塞感しかないなって。インディアがいなかったら、こういう論争も起きなかった。
そう、アイドル業界は「人」の商売だ。法律というルール違反に対する何らかの処分はあって然るべきだが、これだけの失敗で「ハイ、おしまい」となってしまうようなアイドル業界は嫌だ。アイドル業界はもっと落ちこぼれやアウトローに優しい世界であって欲しい。